[フランスの合唱曲]命の洗濯 / BBR
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ヴィラ・ロボスのネタもあるんですが、ちょっと昔を思い出しながらの1枚。
学生時代、合唱団で歌っていた私は結構フランスものを愛好しており、演奏会でデュリュフレのレクイエムをやったりする(この辺についてはまた別途エントリする予定)ほどだったわけなのですが、当然、当時購入するディスクのかなりの部分は近代フランス系ということになっておりました。
同好の士も若干おりまして、ああでもないこうでもない、と言っておったわけなのですが、
その中でも、全員一致で、「命の洗濯CD」という呼び方をしていたのが、このディスクです。
中身はと言うと、フォレの「ラシーヌの雅歌」から、非常に確かな技術と豊かな響き、オルガンと合唱のバランスもとても良く、フォレの合唱曲の録音の中でも極めて上質のものと言えます。
その他の曲も、デュリュフレのモテット、プーランクの「クリモテ」、ドビュッシー、ラヴェルの「3つのシャンソン」など名曲揃い、そのどれもが好演、それも非常に雰囲気のある録音に仕上がっています。
フランスの合唱団には、これほどフランス合唱曲の美しさを表現しきれるところはあまりないような気がします(雰囲気はあってもアンサンブルの粗いところが多い)。
そして、もうひとつ、
このCDに収められているPierre Villetteという作曲家の、Hymne a la Vierge(聖母への賛歌)。
この作曲家の名前、このCDで知ったという人が大半だと思われるのですが(私もそうでした)。
何とも愛らしい小品です。
購入当時は、この音楽系の辞典にも載っていない作曲家(一応、こんな人らしいです。本CDには、1969年没となっているのですが、実際は1998年まで生きていたようですね。作品も、合唱曲以外にもいろいろあるようですが、なかなか聴くのは難しそうです)についてはまるで知識がなかったのですが、その後他の曲についてもCD(Heraldというマイナーレーベルから、バックスの曲とセットで収められたCDが出ていて、私も持っていたのですが現在何故か行方不明)、楽譜を手に入れ、その透明感のある、優しい美しさがいろいろとわかってきました。
フランス系の合唱に感心のある方、とにかく必聴の名盤ですので、是非お試し下さい。
(参考ディスク)
フォレ:Cantique de Jean Racine、Ave verum、Tantum ergo、Ecce fidelis、Maria mater gratiae、Messe Basse
デュリュフレ:グレゴリオ聖歌の主題による4つのモテット
ヴィエット:Hymne a la Vierge
プーランク:クリスマスのための4つのモテット
ドビュッシー:3つのシャンソン
サン・サーンス:2つの合唱曲
ラヴェル:3つのシャンソン
ブラウン指揮 ケンブリッジ・クレアカレッジ合唱団他
Meridian CDE84153 (1984,88年録音)
2006年2月20日(月) at 01:00
Villa-Lobosのこと(その6) / BBR
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(こちらからまたも続きます。)
ヴィラ・ロボスは、オーボエ以外の楽器は何でも弾けたと言われているほど器用な人だったようです。ブラジルの音楽では、やはりギターは重要な楽器の一つですし、彼自身も、かなり上手い人だったようです。そして、ヴィラ・ロボスが、ブラジルのギター音楽をコンサート・ピースとして高いレヴェルまで高めたと言えるでしょう。彼の遺した膨大な作品群のうちで、ギター曲の数は決して多いとは言えませんが、それぞれが非常に質の高い音楽です。
今回のディスクは、その中でも私が特に大好きな1枚です。
「協奏曲」は、彼の晩年にあたる1951年、アンドレス・セゴヴィアのために作られた作品。彼の後期独特の、民謡系の音を超えた、一聴すると非常にシンプルだが内容がぎゅっと凝縮された音楽です。さりげなくクールなギターが魅力的です。
そして、5曲の民謡を元にした組曲は、うんと若い頃、1910年前後に作曲されたものです。こちらは逆の意味でシンプルに、民謡のエッセンスを曲にした作品(ただし、曲のタイトルは、マズルカ、スコティッシュ、ワルツ、ガボットと、終曲のショーリーニョを除いて、いわゆる普通のタイトルです)で、どの曲もとても親しみやすい、美しい作品です。
第1曲の哀愁漂う音色を聴くと、何とも懐かしいような思いにとらわれます。
(もう2,3回、続けます、と書いたのですが、他のネタにも行きたいので、ちょっと中断。また忘れた頃に再開します)
(参考ディスク)
ヴィラ・ロボス:ギターと小オーケストラのための協奏曲、ブラジル民謡組曲、ショーロス第1番
ディエンス:ヴィラ・ロボスへのオマージュ
ディエンス(ギター)、オードリ・アンサンブル
VALOIS V6114 (1987年録音)
2006年2月18日(土) at 01:36
[鰤]こんなのも落ちてくる / BBR
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多くのクラシックファンの皆様がお世話になっていると思われる「鰤」ことBrilliantレーベル。
私も、非常によくお世話になっております。
最近の傾向を見ていますと、結構EMI系のそんなに古くない録音が、ライセンス供与を受けて発売されているようです。
個人的には、そういうのを「鰤に落ちてくる」などと表現しているのですが、中には、サヴァリッシュのブラームス全集のように、「それってフルプライスで持ってますがな」というのも当然あります。
しかし、例えばかの「フォレ歌曲全集」みたいなのが出てきますと、
EMIさん、ありがとっ!
などと口走りたくなってしまいます。
昔から、ステレオ録音ではこれしかない、と言われている決定版全集ですよね。
でも、通して聴いていくと、この全集の最大の功労者は、ピアノ伴奏のボールドウィンではないかいな、と思えてきます。それほどこの伴奏は雄弁です。
さて、ほんとに、信じられないほどいろいろとツボを突いてくる録音の数々の中で、最近出てきたのが、これ。
ムーティ/フィラデルフィアのレスピーギは、私が十代の頃、久々にごっついローマ三部作が出てきた、と評判になったディスクでした。
それが私の大好きな「ボッティチェリの三部作」と「リュートのための古風な舞曲とアリア」全曲(マリナー指揮)と一緒の2枚組で出てきました。
改めて聴いてみますと、ローマ三部作、意外に落ち着きのある演奏に仕上がっているように思います。
オケはしっかり鳴っているようなのですが、いかにもEMIといった感じの芯のない録音が、そういう雰囲気を感じさせてしまっているのかも知れません。
でも、一定のレヴェルでこの曲を楽しみたい向きには、十分な水準を保っているこのディスクは、お薦めできるものだと言えるでしょう。
現在、このレーベルから出てくるのを期待しているのは、ショスタコーヴィチのピアノ曲です。
交響曲、弦楽四重奏曲、室内楽曲、ジャズ組曲と続いているので、今度はピアノ曲全集を、と思っているのですが。
タコに関しては、オリジナルで出してきているようですので、こちらも何か用意されているのでしょうかね。
私も、非常によくお世話になっております。
最近の傾向を見ていますと、結構EMI系のそんなに古くない録音が、ライセンス供与を受けて発売されているようです。
個人的には、そういうのを「鰤に落ちてくる」などと表現しているのですが、中には、サヴァリッシュのブラームス全集のように、「それってフルプライスで持ってますがな」というのも当然あります。
しかし、例えばかの「フォレ歌曲全集」みたいなのが出てきますと、
EMIさん、ありがとっ!
などと口走りたくなってしまいます。
昔から、ステレオ録音ではこれしかない、と言われている決定版全集ですよね。
でも、通して聴いていくと、この全集の最大の功労者は、ピアノ伴奏のボールドウィンではないかいな、と思えてきます。それほどこの伴奏は雄弁です。
さて、ほんとに、信じられないほどいろいろとツボを突いてくる録音の数々の中で、最近出てきたのが、これ。
ムーティ/フィラデルフィアのレスピーギは、私が十代の頃、久々にごっついローマ三部作が出てきた、と評判になったディスクでした。
それが私の大好きな「ボッティチェリの三部作」と「リュートのための古風な舞曲とアリア」全曲(マリナー指揮)と一緒の2枚組で出てきました。
改めて聴いてみますと、ローマ三部作、意外に落ち着きのある演奏に仕上がっているように思います。
オケはしっかり鳴っているようなのですが、いかにもEMIといった感じの芯のない録音が、そういう雰囲気を感じさせてしまっているのかも知れません。
でも、一定のレヴェルでこの曲を楽しみたい向きには、十分な水準を保っているこのディスクは、お薦めできるものだと言えるでしょう。
現在、このレーベルから出てくるのを期待しているのは、ショスタコーヴィチのピアノ曲です。
交響曲、弦楽四重奏曲、室内楽曲、ジャズ組曲と続いているので、今度はピアノ曲全集を、と思っているのですが。
タコに関しては、オリジナルで出してきているようですので、こちらも何か用意されているのでしょうかね。
2006年2月8日(水) at 22:23
Villa-Lobosのこと(その5) / BBR
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(こちらからどんどん続きます。)
あらゆるジャンルに膨大な作品を残しているヴィラ・ロボスですが、主要な宗教合唱曲は人生の半ばを過ぎた辺りから出てきます(初期にはア・カペラのためのモテットを結構作曲していたようです)。主だったところでは、50歳の1937年、リオ・デジャネイロの守護聖人である聖セバスティアンの名を冠した女声3部のためのミサ曲が最初ということになります。
その後も、決して曲は多くないようです。6声のアヴェ・マリア(ポルトガル語版、10年後にラテン語版に改作)が翌年に作曲されたあとは、ア・カペラの合唱曲が数曲、と言う程度で、あまり目立ったものではありません。
さて、彼の最晩年、当時のローマ法王ピウス12世からの委嘱により、管弦楽、アルト独唱と合唱のための「マニフィカト−アレルヤ」が作曲されます。これは独唱のマニフィカトに、合唱のアレルヤが応えるという形式で、結構シンプルな作品ですが、非常に高揚感があり、祝祭の場で大きな合唱団でやると感動的なものになりそうな作品です。
そして、この曲が初演されてまもなく作曲された彼の最後の合唱作品が、「ベンディタ・サベドリア」(祝福された知性)という曲。ニューヨーク大学の合唱団に捧げられた作品は、民謡臭さのない、でも彼らしい濃密な音楽。歌詞の多くは箴言(終曲のみ詩篇90)の一節から採られ、それぞれ短いですが相当に性格の違う6曲で構成されています。譜面面はそんなに難しい曲ではないですが、「濃い」曲が多いので以外に体力が要ります。和音も結構ややこしい部分があります。ただ終曲の大きく広がりを持った音楽は演奏効果もあり、もっと演奏されていい曲だと思います。
もう10年近く前になりますが、この曲を当時やっていた小さな合唱団で演奏したことがあります(しかも指揮をやった)。4曲目のVir sapiens, fortis est.(「知性あるものは強い」、CDだと30秒足らずの速い曲)をFortis強調で思いっきり遅く演奏したり(1分近くかけた)、いろいろ遊んでました。
(まだ続きます)
(参考ディスク)
ヴィラ・ロボス:聖セバスティアンのミサ、マニフィカト−アレルヤ、ベンディタ・サベドリア、アヴェ・マリア その他
ベスト指揮 コリドン・シンガーズ、コリドン・オーケストラ
Hyperion:CDA66638 (1993年録音)
2006年2月4日(土) at 23:08
[モツレク]最後に歌ったのはいつだったか / BBR
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今年は、生誕250年のモーツァルトイヤーですね。
地下鉄の駅にも、大フィルの「モツレク」のポスターが貼られています。
大フィルで「モツレク」と言えば、15年前の、没後200年のモーツァルトイヤーのとき、命日に当たる12月5日に、いずみホールで朝比奈氏が指揮したことがありました。当時FMで放送されたこともあったので、ご記憶の方もおいでかも知れません。
その頃京都のとある合唱団に所属していた私は、運良く歌わせていただくことができました。
その頃、朝比奈氏はちょっと体調を崩し気味で、当日の出演が微妙なほどだったのですが、練習での厳しくも人間味あふれる姿、本番でのきびきびした指揮ぶりに、我々は結構マジに、「あと30年は現役でいけるで」などと言っていたものです。
特に晩年はモーツァルトをあまり指揮されていないと思いますので、大フィルレーベルでそのうち出てきたりはしないでしょうかね(放送の時の録音はあまり良くなかったような気もしますが)。
さて、合唱からしばらく遠ざかっている昨今、最後にこの曲を歌ったのも11年ほど前になってしまいますが、
ここにあげたディスクは、86年のライブ盤、
オケはちょっと好き嫌いが分かれるかも知れませんが、合唱がライブ録音とは信じられないほどの上手さです。技術が確かで、しかも暖かい。すごいです。
テンポは速め、と言っても、サヴァール(約45分で終わってしまう)のような超高速ではありません、普通に聴ける程度です。
なお、このディスクは、「バイヤー版」なのですが、
普通のジュスマイヤー版とは、合唱の楽譜も微妙に違います。
モーツァルトが作曲した以外の部分で、Lacrimosaの最後の方とか、Osannaとかが結構違っていたり、細かい母音の当て場所が違ったりとかもあるのですが、
個人的にとても印象に残る相違点は、Rex tremandaeの最後(Salva me, fons pietatis)。
ジュスマイヤー版では、テノールが最後の音でFに上がって、d-mollの主和音に収まりますが、バイヤー版では、テノールがDに下がって、空虚5度でふっと突き放すように切れます。
この部分、一瞬、虚無の彼方に放り出されるよな寂寞感が、バイヤー版随一の魅力と言っても過言ではないと思います。
(参考ディスク)
モーツァルト:レクイエム
シュミットヒューゼン、パトリアス、マッキー、ヘレ
S.クイケン指揮 ラ・プティット・バンド、オランダ室内合唱団
ACCENT:ACC68645 (1986年録音)
地下鉄の駅にも、大フィルの「モツレク」のポスターが貼られています。
大フィルで「モツレク」と言えば、15年前の、没後200年のモーツァルトイヤーのとき、命日に当たる12月5日に、いずみホールで朝比奈氏が指揮したことがありました。当時FMで放送されたこともあったので、ご記憶の方もおいでかも知れません。
その頃京都のとある合唱団に所属していた私は、運良く歌わせていただくことができました。
その頃、朝比奈氏はちょっと体調を崩し気味で、当日の出演が微妙なほどだったのですが、練習での厳しくも人間味あふれる姿、本番でのきびきびした指揮ぶりに、我々は結構マジに、「あと30年は現役でいけるで」などと言っていたものです。
特に晩年はモーツァルトをあまり指揮されていないと思いますので、大フィルレーベルでそのうち出てきたりはしないでしょうかね(放送の時の録音はあまり良くなかったような気もしますが)。
さて、合唱からしばらく遠ざかっている昨今、最後にこの曲を歌ったのも11年ほど前になってしまいますが、
ここにあげたディスクは、86年のライブ盤、
オケはちょっと好き嫌いが分かれるかも知れませんが、合唱がライブ録音とは信じられないほどの上手さです。技術が確かで、しかも暖かい。すごいです。
テンポは速め、と言っても、サヴァール(約45分で終わってしまう)のような超高速ではありません、普通に聴ける程度です。
なお、このディスクは、「バイヤー版」なのですが、
普通のジュスマイヤー版とは、合唱の楽譜も微妙に違います。
モーツァルトが作曲した以外の部分で、Lacrimosaの最後の方とか、Osannaとかが結構違っていたり、細かい母音の当て場所が違ったりとかもあるのですが、
個人的にとても印象に残る相違点は、Rex tremandaeの最後(Salva me, fons pietatis)。
ジュスマイヤー版では、テノールが最後の音でFに上がって、d-mollの主和音に収まりますが、バイヤー版では、テノールがDに下がって、空虚5度でふっと突き放すように切れます。
この部分、一瞬、虚無の彼方に放り出されるよな寂寞感が、バイヤー版随一の魅力と言っても過言ではないと思います。
(参考ディスク)
モーツァルト:レクイエム
シュミットヒューゼン、パトリアス、マッキー、ヘレ
S.クイケン指揮 ラ・プティット・バンド、オランダ室内合唱団
ACCENT:ACC68645 (1986年録音)
2006年2月4日(土) at 17:25
Villa-Lobosのこと(その4) / BBR
音楽 > CDいろいろ
(こちらからさらに続きます。)
このディスクは現時点では手に入りにくいかも知れません。
しかし、ヴィラ・ロボスの「合唱もの」という面では、かなり貴重な録音を含んでいます。
ブラジル風バッハの第8番は、オーケストラ向けの4楽章作品ですが、その第4楽章のフーガが、作曲者自らにより、ア・カペラの合唱向けに編曲されています。
この曲も歌詞はなし。ほぼ"la"で通す歌で、第9番のように、音をいろいろと変えて、というところまでは行っていません。オケを聴いている限りは、結構重ための曲のように思っていたのですが、合唱版では余りそういう感じはしません。
第9番の1年前に作られていますので、純粋な合唱向けフーガとして作られた(とはいえ後に作った弦楽合奏版の方がポピュラーなようですが)第9番の前に、試しに作ってみた、という感じもあるのかも知れません。オケ版の第8番よりも、この曲の方がシンプルで良い、と思われる向きもあるのではないでしょうか。
その他、3曲の歌曲からの編曲作品が入っています。どれも民謡をベースにした作品で、"Xango","Estrela e Lua Nova","Caboca de Caxanga"(文字飾りは省略)の3曲です。もっとも前の2曲は斉唱ですが、3曲目はとても軽妙で愛らしい作品で、私の非常に好きな曲でもあります。
ディスクの残り(というかそちらの方がメインなんでしょうが)は、ショーロスのうち、ソロ、室内楽向けの作品を集めています。ギターのための第1番は、多くのギタリストが録音している比較的有名な曲ですが、その他はあまりまとめて録音している例は多くないように思われます。男声つきの第3番とかは、なかなか聴くことのできない曲ですね。
演奏の質は、まあ悪くないな、という程度。第7番は、前回のLontano盤の方がより精妙な気がします。
それにしても、ヴィラ・ロボス系の録音には、こういうキワモノ的なカバーが多いですね。
(参考ディスク)
ヴィラ・ロボス:ショーロス形式の五重奏曲、ショーロス第1,2,3,4,7番、New York Skyline、オーボエ・クラリネット・ファゴットのためのトリオ、フーガ、ブラジル民謡集
クインテット・オブ・ジ・アメリカズ、シネ・ノミネ・シンガーズ
Newport Classic NPD85518 (1987年頃録音)
2006年1月28日(土) at 01:36
Villa-Lobosのこと(その3) / BBR
音楽 > CDいろいろ
(こちらの続きです。)
ブラジル風バッハ第9番は、もともと合唱曲として作曲されたものです。前奏曲はそんなに難しくないように見えて和音がかなり複雑、音が取りにくそうです。そして特にフーガは混声12部、8分の11拍子、歌詞はないが全般にスキャット風で、母音、子音の表情付けまで考えると相当な難曲と言えます。しかし、やはりこの曲はバッハ的ながっちりした構成と、ブラジル的な哀愁とが何とも言えないバランスでないまぜになり、かつまた後半へのシンフォニックな盛り上がりが素晴らしい。
しかし(実は楽譜を持っていますが)、これはむちゃくちゃに難しい。これをがっちり合わせていい音楽に出きる合唱団は、プロでもそうはいないのでは...
と思ったら、CDがちゃんとあるんですね(未聴ですがもう1種類良い録音があるらしい)。
このディスクは、この曲以外にも、Sexteto Misticoとか、四重奏曲とか、ショーロス第7番とかの極めて質の高い演奏が収められており、マニアにはたまらない名盤として人気があるようなのですが、私にとって、このBBCシンガーズによる第9番の演奏は、現在のところこれ以上を望みがたい(他の録音を知らないが)大名演と言える存在です。
合唱に、端から端までほぼ隙がなく、でも決して技術の高さをひけらかすような演奏ではなく、とても人間味のある歌声に満ちていて、そしてクライマックスへ向けての見通しも非常に良く、この曲を初めて聴く方にも「ぜひ」とお薦めできる内容です。これからもっとうまい演奏が出てくる可能性は十分ありますが、ディスク全体の構成から見ても、この録音の価値の高さはそんなに落ちることはないでしょう。
ただし、現在の入手困難度は不明です。
(合唱系のネタで次回につづく)
(参考ディスク)
ヴィラ・ロボス:神秘的六重奏曲、2つのChoros bis、フルート・アルトサックス・チェレスタ・ハープと女声合唱のための四重奏曲、ショーロス第7番、ブラジル風バッハ第9番
ロンターノ、オダリン・デ・ラ・マルティネス指揮 BBCシンガーズ
LORELT LNT102 (1992年頃録音)
2006年1月22日(日) at 00:12
Villa-Lobosのこと(その2) / BBR
音楽 > CDいろいろ
(その1)と書き出してそのままになっていたヴィラ・ロボスのCDについてです。
前回のネタの続きで、もう少し、ブラジル風バッハについて。
全9曲あるこの曲集の中で、私の好きな曲は4番と、9番。
第4番はピアノ曲としても知られていますが、特に第1楽章(プレリュード)の哀愁の塊のようなアダージョ(個人的にはこの作曲家最大の傑作だと思う)、第2楽章の静謐な空気の中から立ち上るロマンティックな音楽の盛り上がり、第4楽章の複雑な色彩を放つ舞踊音楽など、オケ版の方が私は好きですね。
紹介したCDは、これってマイケル・ティルソン・トーマスの趣味!?、みたいな奇怪なブックレット写真(表紙だけではなくて、裏面やディスク面の写真も結構強烈です)第4番に関しては、ちょっと第1楽章が淡泊な気がする(録音が遠目なのが原因かも知れません。なお、この楽章は、作曲者の自演盤ではダカーポしてきっちり繰り返していますが、この演奏は1回のみです)のですが、後になるほどリズムの切れもそこそこ良く、他の曲も凄いというほどではないものの、それなりに粒が揃っています(オケは若手主体で、完全プロの団体ではなかったように思う)。ブラジル的な空気にも不足していない、まずまず良い演奏です。
さて、第9番は、純然とした「前奏曲とフーガ」という感じの10分余りの曲でありますが、そのフーガがなんとも一筋縄ではいかない8分の11拍子。声部も結構細かく分かれ、シンコペーションも利かせまくりですので、かなり演奏は難しそうです(自演盤はオケの縦が揃わず、かなりきわどいところまで行ってしまっています)。終盤のクライマックスはヴィラ・ロボス以外には絶対書き得ない、「魂」からにじみ出る音楽です。
で、この第9番、紹介したCDにあるように、弦楽合奏で演奏されるのが普通なのですが、オリジナルはなんと12声部の合唱曲でありまして、作曲者も「これはちょっと難しすぎる」ということで、弦楽版を作ったという経緯があります。私も合唱版の楽譜を持っていますが、「できることなら一生に一度歌ってみたい」と思うんですけど、ちょっととんでもない曲であるのは事実です。
ところが、その合唱版の、またとてつもなく素晴らしい録音があったりしまして...(以下続く)
[参考ディスク]
ヴィラ・ロボス:ブラジル風バッハ第4,5,7,9番、ショーロス第10番
T.トーマス指揮 ニューワールド響
フレミング(ソプラノ、第5番)、BBCシンガーズ(ショーロス)
米RCA(BMG):09026-68538-2 (1996年録音)
2006年1月15日(日) at 00:07
[ブラームス]全ての合唱好きの方に / BBR
音楽 > CDいろいろ
合唱曲集として発売されたのは去年の春頃だと思います。ブリリアント版大全集にも入っている録音ですが、ようやく手に入れました。HMVがちょっとディスカウントしていて、8枚組が3180円です。
とにかく、ブラームスの管弦楽伴奏のない合唱作品がほとんど全て、それもものすごい、とまでは言わないまでも、十分高いレベルの演奏、録音で収められています。単品ならもっといい演奏もあるでしょうし、実際にいくつかの曲では具体的に思いつくものもありますが、とにかくこの内容で8枚組の全集をまとめていることに感動です。
合唱に関わる人なら、是非聴くべし。
[ディスク]
ブラームス:合唱曲全集(8枚組)
リーベスリーダー、ドイツ民謡集、ジプシーの歌、モテット集、その他
マット指揮 ヨーロッパ室内合唱団 他
Brilliant Classics 92179 (2003年録音)
2005年12月11日(日) at 00:15
Villa-Lobosのこと(その1) / BBR
音楽 > CDいろいろ
さて、傾向を変えます。
私がとても好きな作曲家の一人に、ヴィラ=ロボスがいます。
作品数約600曲、ほとんどの楽器を自ら演奏できた人だけに作品のジャンルも幅広く、録音がない曲もかなり多いものと思われます。
中でも特に有名なのは、いわゆる「ブラジル風バッハ」Bachianas Brasileiras 全9曲でしょう。これも9曲いろいろな楽器編成で、曲の形態も一様ではなく、バッハのイメージだけ借用したブラジル音楽、という風情のものから、かなりバッハの作品を意識して作られたとおぼしき曲までいろいろです。
とりわけ名高いのは、恐らくそれと意識しないで聴いたことのある人は多いだろう第5番ですね。ソプラノと8本のチェロのために書かれた作品ですが、これは作曲者が特にチェロを得意としていたせいか、非常に気合いの入った作品になっています。
この曲は最初はAriaだけが作曲され、のちにDansaを追加したものですが、Ariaは、かなり明白に「G線上のアリア」を意識した作品になっています。ただ、旋律に漂うのは、いかにもかの国らしい、「サウダーデ」の雰囲気。一度聴いたら、脳裏にとりついて容易に離れがたいものとなります。特に、後半、弱音のBouche fermeeで歌われる部分は、何とも言いようのない切なさを湛えた音楽です。ただ、歌う方は大変だと思います。
写真のCDは、この曲の初録音を歌ったビドゥ・サヤンの歌唱を集めたもの。彼女はリオデジャネイロで生まれ、1930年代後半から50年代前半に、主にメトロポリタンオペラで活躍した名歌手です。最近はNAXOSから出ている戦前戦中辺りのライブ録音にしばしば登場していますが、それでも正規の録音が余り多い人ではないようです。
このディスクには、他にグノー、マスネのオペラアリアや、デュパルク、アーン、ドビュッシー、ラヴェル他の歌曲、ブラジル民謡の編曲作品が収められています。どれも非常にふくよかな響きですが線はキュッと締まっていて、時代を感じさせない、今でも大変聴きやすい歌声です。
ただ、ちょっと録音が、ノイズ処理とか無理にやりすぎてるんぢゃないだろうか。
[参考ディスク]
ヴィラ=ロボス:ブラジル風バッハ第5番(アリア)
グノー:「ファウスト」、「ロミオとジュリエット」より
マスネ:「マノン」より
アーン、デュパルク、ドビュッシー、ラヴェル、ケクラン、モレの歌曲
ブラガ:ブラジル民謡集
ビドゥ・サヤン(ソプラノ)他
SONY Classical: MHK62355 (1941〜50年録音)


