スクロヴァチェフスキのVOXBOX10枚組 / BBR
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最近すっかり、「Naxosって高い」というばかりか、Waltyの通常ワゴンセールも「ちょっと高いよなあ」と思いだしていてこれはすっかりCDデフレモードだな、という感じになっているのですが、この10枚組は以前から気になっていたVOXの10枚組、今では日本でも巨匠指揮者としてファンの多いスクロヴァチェフスキが、実は1960年から20年にわたって音楽監督を務めていたミネソタ管(就任当時はミネアポリス響、ドラティのあと、マリナーの前)とVOXに残した恐らく全録音をギューッと押し込んだBOXセットです。発売当初は確か5千円かそこらで出ていたと思うのですが、これが中古で2520円。1枚252円。録音は70年代後半が主体で音質も十分。素晴らしい。とにかく13時間近く詰め込まれていますから、「ペトルーシュカ」が中途半端なところでディスク切り替えになったり、ヴァーグナーのディスクの最後の最後にポツンと「ボレロ」が入っていたりとかいうのはありますが、とにかく中身が良いので気にしない気にしない。
で、良いところは書ききれないほどあるのですが、まずはラヴェル。スクロヴァチェフスキは前衛作曲家としても知られていますが、ここで聴かれる演奏はそれもわかるな、という、ブーレーズとはまたちょっと違うが客観的で透明感の恐ろしく高い演奏。クリュイタンスやミュンシュやの演奏がラヴェルの神髄だと思っている向きにはちょっとサラサラしてフランスっぽさが薄いので拍子抜けするほどかも知れませんが、オケのバランスが絶妙なのでしょう、細かい音がきれいに伝わり、ラヴェルの音が情報量豊かに入ってくるけれどもくどくない。「クープランの墓」のような小編成の曲も良いですが、「ラ・ヴァルス」のちょっと突き放したような独特の雰囲気も素敵です。
プロコフィエフ、ストラヴィンスキー、それにバルトークはやはりスクロヴァチェフスキの領域にある曲ですね。「春の祭典」がこれも隅々まで気の利いた音作りで、しかも迫力にも欠けない言い演奏です。あと「弦チェレ」もこういう透明感のあるオケの音によく合います。
このセットのもう一つのポイントはベートーヴェンの序曲と機会音楽を収めた約2枚と、モーツァルトの協奏曲2曲。マイナー作品が随分数多く収められているベートーヴェンも興味深いですが、まさにCrystal Clearな音楽を楽しませてくれるW.クリーンとのモーツァルトはこれらの曲の「超ウラ名盤」と言ってもいい演奏。特に17番は実にスッキリとした美しさで、モダン楽器でこの時代にここまでストレートに見通しの良い演奏ができているのは驚き。この部分だけでも値打ちのあるディスクです。
10枚目のヴァーグナーが意外にしっかりした音で、オケの厚みもあって(全般に、ミネソタ管のアンサンブルの良さも注目に値します。超大スケールではないが美しくまとまっている)聴き応えがあります。
別セットで分売されているものもありますが、10枚どかんとまとまっていると、いやあたっぷりたっぷり。「ミスターS」の演奏に関心のある方、最近のOEHMS盤もいいですが、まずはこの格安VOX盤を聴くべし。結構出回っていたディスクなので、中古市場には時々出てきているようです。
(参照ディスク)
Stanislaw Skrowaczewski/The Minnesota Orchestra The Vox Recordings
ラヴェル:スペイン狂詩曲、道化師の朝の歌、優雅で感傷的なワルツ、亡き王女のためのパヴァーヌ、マ・メール・ロワ、「ジャンヌの扇」のためのファンファーレ、「ダフニスとクロエ」組曲第1番、同第2番、クープランの墓、海原の小舟、ラ・ヴァルス、ボレロ、プロコフィエフ:ロメオとジュリエット(抜粋)、「3つのオレンジへの恋」組曲、スキタイ組曲、ストラヴィンスキー:ペトルーシュカ、春の祭典、「火の鳥」組曲、バルトーク:管弦楽のための協奏曲、弦楽のためのディヴェルティメント、弦楽器・打楽器・チェレスタのための音楽、「中国の不思議な役人」組曲、「かかし王子」組曲、ベートーヴェン:「レオノーレ」序曲第1番〜第3番、「フィデリオ」序曲、「レオノーレ・プロハスカ」より葬送行進曲、「献堂式」より序曲と合唱曲「若々しく脈うつところ」、祝賀メヌエット、「コリオラン」序曲、「エグモント」序曲、「プロメテウスの創造物」序曲、「タルペーヤ」のための凱旋行進曲、「アテネの廃墟」より序曲、トルコ行進曲、行進曲と合唱「聖壇を飾れ」、「シュテファン王」序曲、「命名祝日」序曲、静かな海と楽しい航海、モーツァルト:ピアノ協奏曲第17番、27番、ヘンデル:「水上の音楽」抜粋、王宮の花火の音楽、ヴァーグナー:「タンホイザー」より序曲、ヴェヌスベルクの音楽、ヴァルトブルク城への入城、「トリスタンとイゾルデ」より前奏曲と愛の死、第3幕への前奏曲
スクロヴァチェフスキ指揮 ミネソタ管 クリーン(Pf)
VOX:CD10X3604 (1974〜79年録音)


