織田裕二「脱線者」 / よしは
本 > 活字の荒野
先日「椿三十郎」を一緒に観に行った友人から借りた、織田裕二著「脱線者」。
普通、芸能人のエッセイは素人丸出しで読めない代物か、
ゴーストライターが書いてるから嘘くさいかのどちらかで
今や本当に本人が書いてると思われるのは、blogの記事ぐらいでしょう。
正直、彼に物書きとしての才能は期待していない。
人間・織田裕二としての本音がどこまでうまく出せてるかがポイントでしたが・・・
これがなかなか。本人のイメージを壊さず素直に書けてるなあ、という印象です。
学生の頃、熱中してたテニスができなくなり自殺を考えたという話や
ドラマ現場で納得のいかないことに意見したという話は
世間が彼に対して抱くイメージそのままの行動で、驚きもしませんでした。
真面目で思い込んだら一直線で、仕事に対しては職人肌。
恋愛モノやコメディのヒットに安住せず、常に壁を越えたいと願うあまり
一部からはワガママと捉えられ、マスコミからの評判もよくないみたいやけど
本人はそんなことも飲み込んで、自分の栄養にしたいと願ってるように見えます。
とにかく、イヤミじゃないんですよね。
普通、芸能人がエッセイを出すと、苦労話やら人生訓もどきやらを延々と語る。
「それ、さっきも似たようなこと言うてたやろ!」と本を破りたくなるけど
織田さんはそういう部分があっても、なぜか許せてしまうんですね。
率直過ぎてテレてしまうような言葉や、表現の洗練のなさも
かえって彼らしさを引き立てるスパイスの役目になってます。
ハードカバーでカラー写真をふんだんに盛り込むのではなく、
地味な新書というジャンルで出してるのもまたまた彼らしい。
(近年のブームを考えると、新書の方が売れるという戦略もあるのかも)
こないだまでは「ただの売れてる俳優」だった織田さんが
まるで知り合いの兄ちゃんのように、「お、今日も頑張ってるか?」と
近く感じられるようにはなると思います。たぶん。






