途切れた命、続く縁(えにし)/漫画「夕凪の街 桜の国」こうの史代 / きあ
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「しあわせだと思うたび 美しいと思うたび 愛しかった都市のすべてを 人のすべてを思い出し すべて失った日に引きずり戻される おまえの住む世界は ここではないと 誰かの声がする」
「十年経ったけど 原爆を落とした人はわたしを見て 『やった! またひとり殺せた』とちゃんと思うてくれとる?」
ヒロシマを題材にした作品集です。
「夕凪の街」は、原爆10年後、一人の女性の苛烈な運命を描いた作品、「桜の国」は「夕凪…」の女性の家族と子孫をめぐる物語です。
素朴な広島弁、柔らかな筆遣い、色づかいが、読み手をすっと作品の世界に入り込ませてくれます。
「夕凪…」には、ひたすら胸を締め付けられ、苦しかったです。
原爆が落ちた街に住む人たちにはそれぞれの慎ましやかな物語があり、そこに思いを馳せたとき、「戦争を早く終わらせるために投下は必要だった」「安全保障上必要な戦略だ」なんて詭弁は言えないはずです。原爆は絶対にダメだと、改めて思う機会となりました。
60年以上たってもつきまとう原爆の過去を背負った子孫たちの物語「桜の…」では、主人公である被爆2世のこんな言葉が印象的でした。
「生まれる前 そう あの時わたしは ふたりを見ていた そして確かに このふたりを選んで 生まれてこようと 決めたのだ」
帯にもあるとおり、言いようのない感情がにじみ出してうまく表現できませんが、とてもすてきな話でした(何じゃそりゃ)。
そこに生きた人々の息づかいが大事に描かれていて、従来の戦争ノンフィクションや漫画にないリアリティがあって、大変良かったです。
今年観た映画や読んだ本の中で、最も心揺さぶられた作品となりました。
!!!!!!!!!!
「夕凪の街 桜の国」 こうの史代・著
双葉社 800円+税 初版・04年10月
平成16年度文化庁メディア芸術祭マンガ部門大賞
第9回手塚治虫文化賞新生賞 受賞作品
2006年9月2日(土) at 04:05 / コメント( 0 )/ トラックバック( 1 )
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(今日の一冊)夕凪の街桜の国 / こうの 史代 / Kozmic Blues by TM
夕凪の街 桜の国 (こうの史代/著)
出版社名 双葉社 (ISBN:4-575-29744-5)
発行年月 2004年10月
サイズ 103P 21cm
(内容)
昭和30年、灼熱の閃光が放たれた時から10年。ヒロシマを舞台に、一人の女性の小さな魂が大きく揺れる。最もか弱き者たちにとって、戦争とは何だったのか……、原爆とは何だったのか……。漫画アクション掲載時に大反響を呼んだ気鋭、こうの史代が描く渾身の問題作。
2006年09月04日(月) at 11:10
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