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切りとる / daisy

くらし > 暮らしぶり
何気なく暮らしている中で

「この瞬間を残したい」

という一瞬に出会うことはありませんか?

私には特に印象深いものが2つ。
もう何年も前のことなのですが。

一つは夏の盛り、おそらく夏休みのこと。
信号で止まっている私の車の前を、一台の自転車が横切りました。
中学生の男子が乗った自転車。
クラブ帰りなのかブルーのジャージ姿で、背中に回された大きなバック。
横切った自転車はそのまま道路わきに広がる田んぼに吸い込まれて
風になびく稲の中、あぜ道を駆け下りて行きました。

ジリジリと照りつける太陽、稲の緑。
その中を駆け抜ける自転車。
自転車のハンドルに陽光がキラキラと反射して、とてもきれいでした。
私はエアコンの効いた車の中から、見えなくなるまで彼を目で追って
「青春だ〜」と思っていたわけです。

もう一つは、それも数年前なのですが
やっぱり夏の日、今度は夕方
とある駅の方へと車を走らせていたのですが、私はメインの道路ではなく抜け道を通っていました。
昔は商店街があったその道は、道幅は狭いのですが、今でも小さなお店が立ち並ぶところ。
その中に一軒の洋服屋があるんです。
ジーンズや古着っぽいものを置いている洋服屋。
その前を通りかかると、お店の向かい、道路を挟んだガードレールに腰掛ける男性がいました。
ジーンズに白いTシャツ。
想像するに多分彼はその店のオーナーなのでしょう。
たばこを吸いながらリラックスした様子でガードレールに座り、向かい側の自分の店を見ていました。
仕事が一段落し、休憩がてら外に出て
自分の城を見るように店を見ていたのかもしれません。

気だるい夏の夕方に、その男性の満足感が伝わってきて、私は「カッコいいじゃん」と呟いていました。

どちらもカメラがあれば、その瞬間を写真に残したいほどいい絵でしたが、もちろんカメラは無いし、私は運転中。
仮に徒歩でカメラがあったとしても、一瞬を思ったとおりに切り取るのは難しいのでしょう。

絵心のある人ならば、記憶の中の景色を思ったアングルで絵に写し取ることができるのかな。
チャンスを逃さないという意味では、絵が一番有利なのかも。

写真の腕も絵心もない私は、記憶の中に保存するしかありません。

もったいないこと...

せめて文章で。





2007年9月6日(木) at 00:09