「幽霊はここにいる」 KOKAMI@network / 村をんな
ニュース・芸能 > ストレートプレイ
観劇日…2002年6月8日
劇場…近鉄劇場
さすが安部公房です。骨太な芝居でした。昭和33年の作品だそうです。
あの時代はまだまだ戦争の傷を引きずっていたかもしれません。
戦場の極限状態の中で自分が死ぬか親友が死ぬかという究極の選択を迫られて、精神を病んでしまった青年、深川啓介。彼は戦場で死んでしまったはずの親友の幽霊とともに旅をしているのでした。
詐欺師の大庭三吉は、ちょっとした事件を起こして逃げていた故郷に8年ぶりに帰って来る途中で、深川と知り合います。大庭は「700円の値札が付いたきれっぱじが700円で売れるのは、700円を出して買う人間がいるからだ」という確固たる信念があるのです。この天才的な詐欺師は幽霊の存在などまるで信じてはいないのですが、次から次へと金儲けのネタにしてしまいます。そして初めはまともだった彼の周りの人々も、いつの間にか彼の信念に取り憑かれて実体のないもの(幽霊)から金を生み出そうと汲々とし始めます。幽霊の存在が大きくなりすぎて、人々が困り始めた時深川のところへある人物が尋ねてきて・・・。
大庭の役を演じたのが吉本新喜劇の池乃めだかさんでした。安部公房の芝居にどうなんだろうと思ったのが今回観劇した理由でしたが、手練れのベテランだけのことはあって何の違和感もなく、ひょいひょいと演じておられました。
所々にめだかさんのギャグがちりばめられていたのは、めだかさんを目当てに見に来た我々に対する演出家鴻上のサービスだったのかもしれません。
実は私の以前勤めていた会社の社長(この男普段の生活では守銭奴かというくらいしみったれていました)は商品先物取引で、白金・パラジウム・アラビカコーヒーなんてまるで商売とは関係ない幽霊と同じ全く実体のないものにお金をつぎ込んでいました。その姿を間近に見ていたもんだから、この芝居に描かれた金に振り回される人間の業の深さが身に沁みてしまいました。
2005年11月2日(水) at 22:04 / コメント( 0 )/ トラックバック( 0 )
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