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「初春大歌舞伎」 / 村をんな

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観劇日…2003年1月13日
劇場…大阪松竹座


 ○「義賢最期」帝から賜った源氏の白旗を守るため、命を捨てて戦った義賢。立ち回りが派手だったりするので若手の俳優などもチャレンジしてみたくなる役柄の一つなのでしょうが、やはりニンから考えると現在の仁左衛門くらいの座頭級の役者でないと勤まらない重い役であると芝居を見ながら実感しました。現代人から見ればたった一本の白旗に命を懸けねばならないなど(ひょっとすると江戸時代の人間にとっても)愚の骨頂なのでしょうが、自分が命を懸けて守らなければならないものを持つ人間がそれを白旗に置き換えて観劇するとき胸に共感を呼ぶのではないでしょうか。
 死を覚悟するほどの大病を経験し、松嶋屋の大看板を背負っている仁左衛門の気迫、素晴らしい義賢だったと思います。

 ○「曾根崎心中」50年以上19歳のお初を演じ続けている鴈治郎を凄いと言わなければなりませんでしょう。そして以前(いつ見たのか記憶にないのですが)に比べて徳兵衛を演じた翫雀が成長していたこともこの芝居の密度を高めていたと思います。前回の翫雀はただただ鴈治郎のリードに引っ張り回されてあたふたしていたことしか印象にありませんでした。
 しかし今回はお初徳兵衛のいいコンビになっていたと思いました。
 この二人以外にも天満屋惣兵衛役の竹三郎、帳場に座ってそろばんをはじき帳面を付けている柔らかな物腰。天満屋女中お玉役の壽治郎。このお二人、普段女方の竹三郎は男に、立ち役の壽治郎が女に扮するなどもうこれはお正月の特別なごちそうとしか言いようがありません。脇役の贅沢さも世話物の命。堪能させてもらいました。

○「京鹿子娘道成寺」中村魁春の襲名披露狂言。歌右衛門に連なる女方の大きな名跡を継ぐとなると歌右衛門の代表作を選ばざるをえないのでしょうか?
人間には色々な体質があるのは当然のこととして、魁春が首に汗をかくという体質であることを、この踊りを見ながら知ってこれは気の毒と思ってしまいました。今まで何人かの娘道成寺を見ましたが、喉元のおしろいが地肌が透けるほどはげてしまうのは初めてでした。二階で見ていた私でさえ気が付くのですからこの稼業をなさってる本人にとって、どれほど苦痛なことだろうかなどと同情してしまっていました。
 私自身は日本舞踊がよく分からないのでついつい脇に目がいってしまうのですが、歌右衛門の後見をずっと続けてきた歌江さんの手際の良さに目が引きつけられてしまいました。歌江さんが後ろに控えておられるだけで舞台が引き締まっていたのではないでしょうか。
 魁春が途中衣装替えで引っ込んでいる間、板東吉弥&弥十郎兄弟での踊りがあったのですが、これも私にとっては目のお正月となりました。
2005年11月7日(月) at 21:21