「ヴァローニュの夜」 / 村をんな
ニュース・芸能 > ストレートプレイ
観劇日…2004年7月31日
劇場…ピッコロシアター
この作品は副題に「ドン・ジュアンと7人の女たち」と付けられてあるように、フランスの劇作家エリック=エマニュエル・シュミットが女たらしで有名なドン・ジュアンを主人公に作り上げた作品です。
まずはあらすじから。
フランスの辺境の地に建つ城に女たちが次々と呼び寄せられた。
集められたのは伯爵夫人、修道女、飾り職人の妻、女流作家の4人。一番最初に到着した伯爵夫人は部屋に置かれていた1枚の絵を見つける。それはドン・ジュアンの肖像画。伯爵夫人はその絵を見た瞬間、なぜこの城に呼ばれたのかに気づいた。
次々に到着する女たちはその絵に様々な表情を見せる。
女たちが到着した後、この城の女主人公爵夫人がみんなをなぜ集めたかを説明する。女たちは皆ドン・ジュアンの被害者だったのだ。そしてこの夜、ドン・ジュアンを城に呼んであり、彼を裁判に掛けようというのであった。
そして有罪(もう初めから有罪と確定しているようなものだったのだが)となったときには、一生牢獄に閉じこめられるか、でなければ20歳の娘と結婚して貞淑な一生を送ることを誓わせるかをドン・ジュアンに選ばそうというのであった。
ドン・ジュアンの登場で女たちは色めき立つのだが、なんとドン・ジュアンはどの女たちのことも全然覚えていないという。そして公爵夫人に使える小間使いの女もドン・ジュアンから言い寄られなかったと言った。
そのことを不信に思った公爵夫人は、ドン・ジュアンと20歳の娘が出会った時のことをスガナレルに問いただし、ドン・ジュアンの秘密が明らかにされる。
実は、ドン・ジュアンは娘の兄に恋していた。兄に会いたいがために彼と飲んだ居酒屋に毎晩現れ、彼が現れるのを待ち続けていたのだ。しかし兄の方は、ドン・ジュアンをわざと避けるように娼婦と遊んでいた。
あまりに辛くなったドン・ジュアンは娘と関係を持ってしまう。
そのことを知った兄は妹の名誉が傷つけられたと、決闘を申しこんだ。
決闘の末、兄はドン・ジュアンの剣をつかみ自分の腹に突き立てて死んでしまう。実は兄もまたドン・ジュアンを愛していたことに気づき、そのことを恐れて死を選んだのであった。
ドン・ジュアンの秘密を知った女たちは自分たちを縛り苦しめていた存在から解き放たれ、また元の生活に戻っていった。
そしてドン・ジュアンは舞台奥に設けられた階段を昇りながら、「男なんてちっぽけなものさ」とつぶやいた。
この芝居も前回の「曲がり角の向こう側」と同じディスカッションドラマの範疇に入れて良いものだったのではないでしょうか。ただし「曲がり角の向こう側」ほど辛辣に相手の弱みをつけ込んで人格までをも傷つけようとするほどのものではありませんでした。
キャスティングも全てを取り仕切る公爵夫人に淡路恵子、ドン・ジュアンに立川三貴、スガナレルに大鷹明良など、適材適所な配役で良いアンサンブルだったのですが、ただ残念なことに私の感覚から言うと稀代の女たらしドン・ジュアンを狂わせた兄の役にはもっと妖しい魅力を持つ役者を配して欲しかったと思いました。この役を演じた栗野史浩は明るくて元気な雰囲気を持っておられる方のようで、少々キャラが合わない感じがしました。
例えばこういう役だと女形を経験したことのある花組芝居やスタジオライフの役者だとどろっとした情念が描けたような気がして、見終わった後「もうちょっとやったのになぁ」とつぶやいてしまいました。


