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「素ネオかぶき ザ・隅田川」 花組芝居 / 村をんな

ニュース・芸能 > 花組芝居
観劇日…2006年4月23日
劇場…大阪OBP円形ホール


 「隅田川」は謡曲から発展した人気の題材で歌舞伎狂言の一つの世界として数々の作品の土壌になっています。この隅田川を世界に展開している幾つかの作品を一つにまとめたのが、今回上演された花組芝居版「ザ・隅田川」です。
 「素ネオかぶき」と頭に付いているのは、衣装・化粧を施さず黒紋付にからし色の袴姿で演じる現代に適応するように再編成した歌舞伎狂言とでもいうべきでしょうか。
 10年ぶりの再演となりました。

 芝居が始まると研修生も含む16人の男たちが、上手・下手に向かいあって座っていました。ジーっと座ってる座員たちを、これから何が始まるのかとジーっと見つめている観客。そのうちもぞもぞし始めた座員たちが互いの場所を交換するように移動し始め、混沌とした雰囲気から物語の発端を踊りながら演じていきます。
 パンフレットの解説「隅田川物の系譜」によると鶴屋南北の「隅田川花御所染(女清玄)」は隅田川の世界に、桜姫と鏡山の世界をない交ぜにした作品なのだそうですが、「ザ・隅田川」でも桜姫と鏡山というお馴染みのストーリーが展開し始めて私自身が芝居に入り込むことが出来たように思えました。

 桜姫は許婚が亡くなったことにより、表向きは出家して許婚の後世を弔うことにしたのですが、実はある夜、忍び込んできた盗賊と一夜の契りを交わし、子供まで身ごもってしまっていました。そしてその男のことを忘れられず、自分の腕にもその男がしていたのと同じ刺青を入れていたのです。
 出家のための準備に一間で休息していた所に、その男が現れ、不義を重ねてしまいます。それを寺の者たちに見つかってしまうのですが、その時には相手の男は逃げてしまっており、桜姫の不義の相手はこの寺の高僧・清玄とされ、清玄は寺から追い出されてしまうのです。
 清玄自身は桜姫と何の関係もなかったのですが、若かりし頃稚児の白菊丸と心中未遂を起こしており、白菊丸は死に、清玄が生き残ったという過去がありました。その白菊丸に桜姫は瓜二つだったのです。
 こうして高僧と姫という高貴な身分の人間が底辺まで落ちていくという話です。

 鏡山はお家騒動にからんで、局岩藤と中老尾上の勢力争いを描く江戸時代大奥の女たちに大人気だったという狂言です。
 町家出身の中老尾上は、姫の気に入られていたのですが、町家の出ということで何かにつけて岩藤からいじめられていました。数々の辱めを受けた尾上は自害し、その仇を尾上の召使お初が討つというのがメインストーリーです。

 普通なら桜姫も鏡山もそれぞれ一つの物語として見応えのある作品なのに、それぞれ有名な見せ場を繋ぎ合わせてあり、退屈させない構成となっていました。

 今回の公演の出演者は総勢18人、そのうち初お目見え3人、前回から花組芝居に参加した1人、研修生2人と、1/3が新人という構成でした。
 元々花組芝居というのはネオかぶきという土壌からきているので、新人を育てるためにも、衣装・化粧に頼らず自分の演技力によって、役になりきるという素ネオかぶきは勉強になったのではないでしょうか。

 新人ご披露の挨拶が、芝居の途中であるのですが、千秋楽ということもあり、座長からアドリブで一句披露せよとの命が下り、突然のことで何も思いつかず焦っている新人3人の姿に大爆笑させてもらいました。あまりにおかしかったのでこの3人がどんな句をひねり出したかに付いては失念してしまったのですが、2番目に座っていた子は「隅田川」と言ったきり黙りこんでしまい、後ろに座ってる先輩のアドバイスで「隅田川 あぁ隅田川 隅田川」と何とか乗り切っていました。

 この挨拶のすぐあとに、岩藤が尾上を草履で打つという有名な「草履打ち」のシーンがあったのですが、ここでも岩藤役の座長が尾上役の植本潤さんに向かって「辱めをうけた一句を詠め」と言ったところ、さすが潤ちゃん「桜散り 座長も去って 座内安定」(うろ覚えですが)と詠み、劇場中が爆笑の渦に包まれました。こうなると岩藤の草履打ちも激しさを増し、ますます可笑しかったです。どうも私たちは潤ちゃんが出てると座長vs潤ちゃんの女優対決を密かに望んでいるのかもしれません。

 



 
2006年5月6日(土) at 21:29 / コメント( 0 )/ トラックバック( 0 )
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