
1942年、日本占領下の上海。抗日運動に身を投じる美しき女スパイ、ワン(タン・ウェイ)は、敵対する特務機関のリーダー、イー(トニー・レオン)暗殺の命を受ける。やがてその魅力でイーを誘惑することに成功したワンは、彼と危険な逢瀬を重ねることに。死と隣り合わせの日常から逃れるように、暴力的なまでに激しく互いを求め合う二人。しかし、運命の時は刻々と迫っていた――
話題の映画を女二人、レディースデーで観て来ました。
これは本当に見ごたえずっしり、とても深〜〜い映画でした。
時代背景が日中戦争中ということで、日本人にとっては結構イタイ内容だったと思うし、映画の中の日本人はかなり滑稽に描かれていました。

理想を追い求めてちゃんとした準備も無くイーを暗殺しようとする、ワンら抗日運動中の大学生グループ。
彼らのやっていることは、まるで子供騙しなスパイごっこ。
でも、この頃からワンはイーに惹かれていたのが良く分かる。
自制しようと必死でもがきながらも、結局はイーの性愛に溺れてしまい最終的に恋に落ちてしまうワン。
そのことが、自らを破滅の道に向かわせてしまう事は知っているはずだったのに・・・
主人公のワンを演じるタン・ウェイは、写真を見ただけではそんなに美人にも思えず、なんとなくダサい感じがしたんだけれども、映画の中ではちょっとした表情がとても美しい。
きっと彼女の演技力が素晴らしいのだろうけど、それと同じくらいに監督の演出が良かったんじゃないだろうか。
数々のチャイナドレスの着こなしも素晴らしくて、しかもチャイナドレスって体型がそのまま出るから、ちょっと体重が増えただけで着れなくなってしまうらしいけど、私が知っている限りでは「花様年華」のマギー・チャンの次に綺麗な着こなしをしてたと思う。
トニー・レオンはさすがに落ち着いた風格で、良くも悪くもいつものトニー・レオン(笑)
しかし内に秘めた情熱を爆発させるベッドシーンでのトニたんは、なんだか見てはいけないものを見てしまったようなちょっとヤバイ気持ちになったりして・・・

しかし、この映画はやっぱし演出が良い。
なんといっても、アン・リー監督が一つ一つのシーンを丁寧に丁寧に撮って行った過程がこちらにピリピリと伝わってくるのです。
例えば俳優たちの表情一つにしても、目線はこう、顔の向きはこう、という風にきっと事細かい指示があったんだと思う。
そしてカメラの位置や光の具合やセットに置いてある小物類にしても、その1つが狂うと台無しになってしまうような、全てが計算されている感じです。
私のようなシロウトでも良く分かったのが、ガラスに後ろの人の表情が映っているシーン。
そのガラスを見ている人、映っている人の表情を並べることによって、お互いの心情を一瞬で描いてしまうのね。
こういうシーンがとても多かったんだけど、これがすごく凝ってるし上手いな〜って思った。
CGを使ってるのかどうかは分からないけど、いわゆる映像マジックがあちこちに散りばめてある気がする。
話題になった過激ベッドシーンも「器械体操かいな?」と下手すりゃ滑稽に思えてしまうほどの過激さで、でも二人の俳優の物悲しい表情や音楽が心に突き刺さり、映画の流れに乗ったとても美しく悲しいシーンになっていた。
「すわ!ホンバン??」って話題になってたけど、体の細かな動きだって、まるでダンスの振り付けみたいに決めてあったんじゃないかな?
でもさすがにラストシーンは辛いものがありましたね〜
まあこの映画がハッピーエンドで終わるとは思えませんが、いつまでも余韻の残る映画でありました。