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心斎橋と新世界の違いは「二度……」。 / パーソナリティ・チアラ

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…と、このタイトルを書いただけで、「ああ、あれやな」と想像できる人はエライ。いや、別にエラくもないか。
この二つ、街のつくりに大きな特長がある。心斎橋(御堂筋)界隈は名だたるブランドショップが軒をつらね(ちょっと表現がレトロやね)、先端のファッションや雑貨、あるいはグルメで人々の満足を満たす。一方、新世界界隈はといえば、通天閣に続く商店街などは、かつては閑古鳥が鳴き、時代に取り残された明治〜昭和にかけてのレトロな街であった。ところが、この4、5年の間の観光ブームでレトロが爆発、大阪でも観光客が押し掛ける人気のスポットになった。
この二つの街に共通するのが冒頭の「二度」である。
心斎橋の「二度」といえば、一昨日あたりから再びマスコミを賑わす、いわずと知れた再建中の”大阪船場吉兆”。こちら、何が「二度」かといえば、客に出した料理のうち、手つかずのもの、早い話が客が喰い残したものを次の客に再加工して出していたことで、新社長が「猛省している」と画面で謝罪会見。塩焼きの鮎は再び焼き直し、天ぷらは二度揚げ、刺身は下げたものを並び替え、ツマものは洗って再び利用、山葵(ワサビ)は、ワサビ醤油として加工。なるほど見事なまでの「二度」利用である。新社長の弁を借りれば先代社長の”もったいない”を忠実に守っている、ただし私は知らない、のだとか。
一方の新世界、ご存知のように通天閣、ビリケンさんの他に、「串カツ」の街でもある。俳優で元ボクシング選手の赤井氏経営による有名な”だるま”をはじめ、最近では次々に串カツの店がオープンして大きな賑わいを見せる。その串カツ、実は「ソースの二度漬けお断り」の書き物がソースの横やテーブル前、壁など、あちらこちらに張られている。もちろん、自分の、他人のかじった串をそのままソースの器に漬けられるのはあまりいい気がしない。見た目や衛生面も考慮しての断り書きであるのは一目瞭然。もちろん、一度と二度、ソースを漬けるのは店側からすれば「ソースの量」(=お金)も違うだろう。
ま、そんなわけでブランド店が並ぶその一角、心斎橋の高級料亭・大阪船場吉兆では、裏でこちょこちょと「二度…」を企み、知らぬが仏と客に出す。一方、庶民の街の新世界では、店が白昼堂々と「二度…」を客に訴えるし、場合によっては叱りもする。安くて旨くて大満足が庶民の街、新世界である。
ついでに言うなら、今の大阪では粋にお座敷で遊ぶ旦那衆もない。料理屋の女将は常連客や一見客への気遣い、心遣いをすることもなく、「銭かね」の損得勘定に走った結末がこれとは老舗の看板が泣く。それ以上に商人(あきんど)の街・大阪が泣くというものだ。江戸の粋(いき)は一枚一枚脱いでいくらしい。宵越しの金(ゼニ)は持たねえと、キレイさっぱり飲んでしまうのがそれ。一方、大阪の粋(すい、という)は一枚一枚積み重ねていくのだとか。あえて言うなら、技術の粋(すい)を集めるとなるが、罪の上塗り、嘘の積み重ねが大阪の恥を上塗りしていく。これが大阪船場の「粋」(すい)だとすれば、情けないの一言だ。


2008年5月8日(木) at 19:58