島谷的舞録゛@関西

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級位者の法則:非常手段を知ると平常時でも使う / 島谷

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 非常時に使うサバキの手筋は見た目に華麗だ。
 死にそうな石が綱渡りで遊軍に連絡したりガラガラだったスソが先手で止まったりする。
 このような手を知ると使ってみたくなるのが人情だ。
 チャンスがあると非常時でもないのに使ってしまう。
 しかし非常手段というのはあくまでも非常時に使う手段で平常時には使ったら損になるのが普通だ。
 自動車を運転していて水の中に落ちて沈んでしまった。水圧でドアが開かない。脱出しなければ助からない。こんな場合はガラスを叩き割って脱出するだろう。しかし緊急事態でもないのにガラスを叩き割って出るようなことをしたら大損だ。
 自動車の場合はガラスを叩き割ることが損だということは自動車を運転できない人でもわかる。だから『するな』と言わなくてもしないだろう。
 しかし碁の場合は損であることは教えられないとわからない場合が多い。このため平常時でも非常手段を使ってそれが普通の手だと勘違いしている初級者が少なくない。

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 左図2間高バサミからスベリまではよく見かける定石。
 この定石は部分的には白損だが右側の黒が厚く戦うことができない場合に黒の鋭鋒を凌ぐ目的で打たれるのが普通だ。
 黒はと頭を下げたことに満足して他の要所に向かい白のウスミを将来の楽しみにするのが普通だ。
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 ところが級位者は早い時期にノゾキからツケと犠打を放ってオサエ先手で右辺のスソを止めたと喜んでいる人が多い。
 甚だしきは上図の後に引き続いてこのまで打ってしまう人もいる。
 このまでは部分的な損を顧みず上辺のスソを止めなければならない場合の非常手段だ。
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 上辺のスソが大事なら2間高バサミを打つべきでない。
 スソを大事にしたいのなら高バサミでなく3線の低いハサミを打つべきだ。
 高バサミは中央を大切にし下に潜りこんできたら相手を低く屈服させたことに満足するつもりだったはずだ。
 それなのに大損をしてスソを止めることに専念するのは矛盾も甚だしい。
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 この手を打つことによってウスかった白は厚くなり止めたつもりのスソも傷があって完璧ではない。
 普段はまではガラスを叩き割って自動車から出るに等しい大悪手と知るべきだ。
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 1間トビからスベリ・スベリの白はウスイ形で黒からいろいろ狙いがある。
 たとえばコスミツケにはサガリと我慢しなければならない。
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コスミツケにオサエと頑張るとと中央の白を切り離されてしまう。
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 周囲の状況によってはツケからコスミツケという強硬手段さえある。
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 上記手段はすぐに打っていいものではないが左図はその狙いを消してしまったばかりでなく白に少なからぬ地を与えている。
 左図はあくまでも非常手段であってやむを得ないとき以外は打つべきでないことを肝に銘じて欲しい。

2007年8月27日(月) at 17:33