小麦が高けりゃ、パンやめてご飯に・・・!実は米の価格急上昇! / 中村智彦
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日本では、今年になって東北農政局が、「米のつくりすぎは、もったいない!」というポスターを製作。「MOTTAINAI」と大きく書かれたポスターを3万枚カラー印刷し、配布しようとしたところが、多くの農家の反発を受けて騒ぎになっている・・・というニュースが流れているらいで、「米=まだ余っている」⇒「小麦が値上がりしているんなら、パンをやめて米を食べればいいや」なんていうお気楽な会話が回りでも多かったのだが・・・本当に大丈夫なのだろうか?
先日、韓国に出かけて、新聞(英字だが・・・)を拡げて驚いた。新聞記事に大きく、コメ価格の国際価格急上昇が取り上げられていた。韓国政府は、韓国内の米の供給には問題なく、便乗値上げに対して監視を強化するというコメントを出したと記事に書かれていた。
不覚にも自分自身も、あまり米の価格の国際的な上昇というところに意識が繋がらなかっただけに、韓国紙の記事の取り上げ方にショックを受けた。
どういう状況か簡単に述べると、国際連合食糧農業機関(FAO)によると、今年3月までの一年間で米価格指数は、57%もの上昇を示しており、この18年間で最高、さらにこの五年間で二倍に上昇している。
タイ国内では、輸出米価格の急上昇が続いており、4月4日、トン当たり1000米ドルを上回った。タイ国内では、今年になって国内市場での販売価格が3倍近くに急上昇するなど、社会問題化しており、政府が業者と協議し、小売価格の安定と定価を実施した。
米の輸入国であるカンボジアやフィリピンなどでは、大きな混乱が懸念されており、特に供給は問題ないにしても、価格がここまで急上昇すると、貧困層を中心に主食である米の購入が困難になるといったことが心配されている。
こうした米価格の急上昇については、一つの理由ではなく、複合した問題だと考えられている。アジア全体で、昨年の米の作柄があまり良くなかったことや、人口減少、都市化の進展で水田面積が減少していることが大きな原因だ。特に世界の米の輸出市場で最大級の割合を占めるベトナムが大きく減少させており、これまで年間500万トン程度の輸出量は、400万トンから450万トン程度にまで減少すると予想されている。タイも、小幅ながら生産量の減少が予想されている。さらに中国も、今後、大幅に輸出量の減少を検討すると予想されている。
日本や韓国といったアジアでも先進国では米の消費量が減少しているものの、その他の発展途上国では急激な人口増加に伴って米の消費量が急増していること。
世界的な穀物の不足、価格の上昇、さらには投機的な資金の流れなど、考えてみれば米だけが特別な作物ではないことに、いまさらながら気がつかされる。
1980年代以降、世界のコメ生産は順調に増加してきた。品種改良や農法の改善など、発展途上国での増産が成功してきたためである。しかし、発展途上国でも工業化、都市化が進み、農地面積が減少してくる傾向にあることや、生産量の増加も限界に来つつあることなどから、この20年間のような状況は継続できないのではと懸念されている。
さて、ここまで読んでくると、タイ米やベトナム米などの話で日本にはあまり影響もないと考える人もいるだろう。しかし、それで大丈夫だろうか。
わずか10年少し前の1994年、国内の米屋から米が一斉に姿を消したことは、すでに我々の遠い記憶になっている。米屋に買いに行っても売っているのは、緊急輸入されたタイ米だけ。出勤との途中に米が並んでいるのを見つけたら、すかさず買って職場に米袋を持参した覚えが筆者はある。当時、日本が259万トンを緊急輸入するというので、、一方で、今までも世界的に米の価格は乱高下を繰り返してきた。日本が259万トンもの緊急輸入をした1994年には、トン当たり500米ドルを超す『高値』をつけたと騒がれたのである。今回は、すでにそのほぼ倍の価格に達している。果たして、次回、日本国内で米不足が発生した時に、前回、10数年前と同じようなことができるのだろうか。
もう一点、意外と見落としているのことがある。日本に住んでいて、米は余っているし、そもそもベトナム米とか、タイ米なんて食べないから、いくら値上がりしても関係ないと思い込んでいるが、実は、そうでもない。
焼酎、あられ、せんべい、味噌、和菓子などにいわゆる「外米」が使われているのだ。また、米粉調製品という形や、あるいは製品としても相当量が輸入されている。ちなみに味噌製造では、年間約10万トンの米が使用されているが、そのうち約3割が輸入米である。あられ、せんべいなども、国内の米価格が高いことや、需要は停滞基調で低価格化が進んでいることなどから、中国からの輸入が増加傾向を見せてきた。
ところで、長々書いてきたけれども、この米の世界価格の急上昇・・・・各国の新聞などをチェックしてみると、かなり深刻に捕らえていることがわかる。確かに、アジア諸国において主食たる米の動向は、直接生活に繋がるだけでに大きな問題である。ところが、日本のメディアをチェックしても、ほとんど取り上げられていない。(今週辺りから、テレビのニュースなどで取り上げられていくらしいが・・・)
それにしても、私たちはこんなにも世界的な動きに鈍くていいのだろうか。もう少し、自分たちの置かれている周囲の状況に目配りが必要なのではないだろうか。

