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「胡蝶の夢」 / toco3

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司馬遼太郎の「胡蝶の夢」を読む。

「胡蝶の夢」を書くについての作者のおもわくのひとつは、
江戸身分社会というものを一個のいきものとして
作者自身が肉眼で見たいということであった・・・という。

江戸身分社会というものを一個の生き物としてみるために
「胡蝶の夢」で核となっているのは、蘭学である。

幕末に於いて、江戸幕府の制度の一部が、蘭学化することによって
徐々に崩れていき、蘭学を学んだ者が、卑賤の境涯から身分社会において
栄達をしていく様を、主人公の蘭医・松本良順の生涯を追うことで
「胡蝶の夢」は、鮮やかに、時代の風景として、私たちに見せてくれる。

「胡蝶の夢」という題は、「荘子」からとられている。
荘子は夢に胡蝶になり、覚めれば荘子であった。
荘子が夢を見て胡蝶になったのか、胡蝶が夢を見て荘子になっているのか、
大きな流転のなかではどちらが現実であるかわからない・・・

胡蝶とは、幕末という巨大な、未曾有の変動期に生きた人間たち
ここでは、その中心に、松本良順がいて、伊之助がいるのであるが、
彼らは、つまりは、胡蝶に過ぎないのではないかと思える・・・という。

ちなみに、私にとって、この作品で最も興味深い人物は、伊之助である。

2007年1月17日(水) at 22:46