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ひたち秋祭り・郷土芸能大祭その2「至高の舞台と酒盛りと」 / 旧道者

おでかけ・旅 > 大川平つながり
出演者の皆が力強い足取りで舞台へと上がっていく。観客席に残るのは俺と和太鼓ドンのはるっちさんとけいぞうさん。舞台前の緊張を表に出していないように見える出演者の皆とは違い、俺ら3人は目に見えて緊張していた。舞台に立たない方が緊張しているというのも妙な感じだ。
自分の故郷の郷土芸能が出演する時、観客であっても緊張するものだということを前にどこかで聞いたのだが、それは今の俺たちも、大川平を自分の故郷のように愛しているということなのだろうな。その証拠に俺の膝は絶え間なく震えているのだから。

出演者の皆が舞台上と観客席の中央部に整列した。今まさにお囃子が始まらんとする瞬間、俺は何かが吹っ切れた気がした。
この感覚は、あれだ。水泳の試合で、跳び込み台の前の椅子に座ると、それまでの緊張がほぐれて準備体操とか始めたりするのと似たようなものだ。

お囃子が始まった。舞台奥の中央部に立つお囃子隊の勇姿が、太鼓の音の力強さと笛や鉦の音の美しさを引き立てているように見えた。


旋律が変わり、馬と手綱取りが跳ねる。俺はデジカメを構えながらそれを見ていて、あの夏の大川平での出来事を思い出していた。今別の町中を酷王を押して付いて行ったこと、馬で参加させてもらったこと、そして最後まで踊りきったときの達成感と名残惜しさ。全てがよみがえってきた。

数回跳ねた後、りょうこさんとみやこさんがマイクを持って前に出て、津軽弁でいろいろと喋る場面があったのだが、これが大ウケ。そこかしこで「可愛い〜」といった歓声がちらほら飛び交う。ここの人たちは津軽弁の聞き心地の良さが分かっているようで、なんだか無性に嬉しい気分になった。

「それでは、会場の皆さんももつけになって、跳ねてみませんか?」
りょうこさんの言葉とともに、お囃子再開。そしてすぐに跳ねる方のお囃子に変わった。
馬と手綱取りが跳ねる中、周りの観客が我先にと隊列に加わり、青森ねぶたのように跳ね人となって隊列に加わっていた。



今の季節は秋で、場所は大川平から600km以上も離れた日立市であるが、今のこの瞬間だけはあの、1年に1度だけ大川平で最高に熱くなれる夏の数日と同じ瞬間がここにあった。
懐かしさがこみ上げてきた。

ふと視界が滲むのを感じた。そして俺の片頬に何かが流れるような感触があった。俺は、泣いているのか・・・?

そう思ったが最後、両方の目から涙がとめどなく流れてきた・・・と言いたいところなのだが、とりあえず今はそうはいかない。
これを読んでいる皆さんにはお分かりだろうが、俺は恥ずかしがり屋だ。それゆえ、人前では決して涙を見せることができないのだ。だから、たくじさんやひろさんを始めとする大川平に生きる男の優しさと熱き心からくる涙もろさに、俺は漢の心意気を感じ、羨ましく思い、同時に尊敬してやまないのだ。

とりあえず流れた涙を、周りの人に気付かれないようにこっそりと拭い、隊列に参加することにした。
撮影を終了すると同時に1回目の跳ねる方のお囃子が終わった。さて2回目から参加するかと意気込んでいたら、次に始まったお囃子はなんと戻り節!

なんと参加できぬまま、1日目の舞台がここに終了となってしまった。参加できなかったのは残念だったが、日立市の人々と大川平の人々とが一体となって舞台を盛り上げていた模様を写真や動画に収めることができただけでもよしとしよう。

俺とはるっちさんとけいぞうさんは、楽屋へお邪魔させていただいた。皆が着替え終わったあと、いろんな話をした。
りょうこさんと会い、俺に彼女ができるようにするにはどうすればよいかという話題で盛り上がった。彼女には2年前に大川平で初めて出会った頃からお世話になっている。

前にも書いたかもしれないが、大川平文化会館前で俺に声をかけてくれたのがりょうこさんであり、それ以来大川平に行った際には、人付き合いが苦手な俺に人との付き合い方や、恩の返し方、そして悩み事の相談など、いろんなことで世話になっている、まさに恩師なのだ。

「バイクのお兄さん、どっから来たん?」
「泊まってけ〜!」
あの8月6日の夜に聞いた、りょうこさんの優しい声が今も耳に焼き付いて離れないのだった・・・。

そして今回の祭りの参加者の交流会の時間となった。ここからは参加者のみが参加できるということで、俺たち3人は終わるまで適当に時間を潰した。このメンバーに一人の男性(ドンの関係の人、またしても名前聞き忘れた・・・)が加わり、喫茶店でコーヒーを飲むことにした。

交流会終了とともに全員で大川平の皆が貸し切っているという温泉旅館へ向かうこととなった。夜の酒盛りに参加させていただけるということだ。元々は一人寂しく車中泊するつもりでいただけに嬉しかった。感謝の気持ちで一杯だ。

俺は皆を乗せたバスにレンタカーで後ろから付いていく。途中コンビニに寄って買出しをしようとしたが、バスよりも小回りの効く俺が買い出しを担当し、先に温泉旅館へ行って、後から来た皆と落ち合おうということになった。

早速バスの乗務員の方に助手席に乗って貰い、買い出しに出かけた。買うものはあらかじめたけちさんから頼まれている。
駅前の酒屋風のコンビニに向かうと、全てそろえることができた。そして乗務員さんの案内の下で温泉旅館を目指す。

幹線道路から温泉旅館に向かう道が暗くて狭かったが、こんなものはいつも慣れっこ。
温泉旅館の駐車場にレンタカーを停め、少し待っていると程なくしてみんなと落ち合うことができた。

そして旅館内に入り、酒盛りが始まった。

横に師匠を始め、皆と呑みながらいろいろと語り合った。何を話したかは未だにあまり憶えていないが。記憶をなくすほど呑める仲間ってのは素晴らしいものだな。

かなり呑んだところで、車に帰って寝ようとしたが、みやこしさんに「ここに泊まってもいいよ」と許可をいただき、部屋で寝させてもらえることとなった。たしかたくじさんにも勧められたようで、たくじさんの横の布団で落ちてしまったようだった(翌朝そこで目が覚めた)。

大川平つながりの仲間と共に居るだけで、1日がこんなにも有意義なものになる。素晴らしいことだといつも思う。

(その3「日立を練り歩く」に続く)
2006年10月22日(日) at 02:34 

このエントリ(記事)へのコメント

ありがとう / ひろ

こんな時間に起きている事は無いのですが、なんかしっきりしました。
ありがとう、けんたろう
2006年11月07日(火)   at 1:54

こちらこそ、ありがとう / 本人マーク(認証コメント)旧道者 URL

◎ひろさん
体調を崩されたということで、病名を見て心配でならなかったのでしたが、職場復帰されたということで、ホッと胸を撫で下ろしております。これからもどうかお大事になさってください。私も応援しております。

そしてまた、会いに行きます。
2006年11月07日(火)   at 22:43