『破天荒、大二郎がゆく』 橋本大二郎 (講談社) / HN TASHKENT
本 > 歴史・ノンフィクション
この本が刊行されたのは1993年1月である。本の最初の方にある記述からすると、知事就任後1年余りで出したものということになる。
“政治不信”という、90年代に盛んに取り沙汰されていた話題から、橋本知事個人の生い立ちや、NHK記者時代のこと、県政に携わっての思いなどが吐露されている一冊である。
個人の生い立ちや記者時代関連の部分はともかく、それ以外の部分に関しては当時から10年以上を経た今でも、古臭い感じがしない内容である。良く言えば「筆者の慧眼」ということになるのだろうが、悪く言えば「筆者が感じた“問題”がマダマダ残っている」ということになるだろうか…
例えば本文の記述に「株式会社高知県庁」、「“前例主義”、“公平主義”という二つの曲者」というような記述があるが、この種の発言は今でも色々な人の口から異口同音に飛び出す。
橋本知事は本書の中で「県庁職員の顔が十分に県民のほうを向いていないのではないかと感じることがある」としている。こういう思いからか、彼は“発信する知事”として色々な発言をし、“改革派知事”として全国的に著名になっていった。最近では『だいちゃんぜよ』というブログも運営しており、県民を含め、大勢の人達に語りかけている…これはなかなか面白いものなのだが…
当選した頃に金銭スキャンダルがあったとして不信任案が議会に出され、それを受けて「県民に信を問う」として辞職し、選挙を行われた…本書を読む限り“金銭スキャンダル”というような話しは違和感がある…初当選を果たした当時は、16年間に渡って活躍した前知事の“後継”と目される副知事を向こうに回し、市民団体頼みで闘ったのであるから…
以前に何かの雑誌で読んだ。ある大会社の会長という方のインタヴューである。「社長になると、良い仕事が出来る時期があり、都合の良いことだけしか聞こえなくなる時期があり、何も聞こえない時期がやって来る…だから引き際は“3期6年”(一般的に会社の取締役は2年毎の定例株主総会の席で任命され、それを受けた取締役会で社長が選任される…)と決めた」という趣旨の話しだった。大きな組織の上に立つ“トップの孤高さ”を語る言で記憶に残る…
“良い仕事が出来る時期”…“都合の良いことだけしか聞こえなくなる時期”…“何も聞こえない時期”…橋本知事はどの時期に居るのだろうか?「“引き続きやれ”と言われれば、引き受けさせていただくし、“やめろ”と言われれば、潔く退くのみである。こう考えれば、古いしがらみにとらわれずに仕事に打ち込むことが出来る」と本書で橋本知事は述べている。
こうした「リーダーになった人の言」というものは、思い付いて時々引っ張り出すと面白い…
“政治不信”という、90年代に盛んに取り沙汰されていた話題から、橋本知事個人の生い立ちや、NHK記者時代のこと、県政に携わっての思いなどが吐露されている一冊である。
個人の生い立ちや記者時代関連の部分はともかく、それ以外の部分に関しては当時から10年以上を経た今でも、古臭い感じがしない内容である。良く言えば「筆者の慧眼」ということになるのだろうが、悪く言えば「筆者が感じた“問題”がマダマダ残っている」ということになるだろうか…
例えば本文の記述に「株式会社高知県庁」、「“前例主義”、“公平主義”という二つの曲者」というような記述があるが、この種の発言は今でも色々な人の口から異口同音に飛び出す。
橋本知事は本書の中で「県庁職員の顔が十分に県民のほうを向いていないのではないかと感じることがある」としている。こういう思いからか、彼は“発信する知事”として色々な発言をし、“改革派知事”として全国的に著名になっていった。最近では『だいちゃんぜよ』というブログも運営しており、県民を含め、大勢の人達に語りかけている…これはなかなか面白いものなのだが…
当選した頃に金銭スキャンダルがあったとして不信任案が議会に出され、それを受けて「県民に信を問う」として辞職し、選挙を行われた…本書を読む限り“金銭スキャンダル”というような話しは違和感がある…初当選を果たした当時は、16年間に渡って活躍した前知事の“後継”と目される副知事を向こうに回し、市民団体頼みで闘ったのであるから…
以前に何かの雑誌で読んだ。ある大会社の会長という方のインタヴューである。「社長になると、良い仕事が出来る時期があり、都合の良いことだけしか聞こえなくなる時期があり、何も聞こえない時期がやって来る…だから引き際は“3期6年”(一般的に会社の取締役は2年毎の定例株主総会の席で任命され、それを受けた取締役会で社長が選任される…)と決めた」という趣旨の話しだった。大きな組織の上に立つ“トップの孤高さ”を語る言で記憶に残る…
“良い仕事が出来る時期”…“都合の良いことだけしか聞こえなくなる時期”…“何も聞こえない時期”…橋本知事はどの時期に居るのだろうか?「“引き続きやれ”と言われれば、引き受けさせていただくし、“やめろ”と言われれば、潔く退くのみである。こう考えれば、古いしがらみにとらわれずに仕事に打ち込むことが出来る」と本書で橋本知事は述べている。
こうした「リーダーになった人の言」というものは、思い付いて時々引っ張り出すと面白い…
2005年12月20日(火) at 23:20
『駅伝がマラソンをダメにした』 生島淳 (光文社新書) / HN TASHKENT
本 > 歴史・ノンフィクション
“駅伝”と聞けば、“箱根”を思い出す…私は、学生時代は東京に居たが、年末年始は乗り物が混み合うので、また雪深い北海道へ行くのも面倒に思えたため、帰省せずに居た…するとほぼ毎年、1月2日か3日に父から電話が掛かって来た…「どうしたの?」と問えば、私が御厄介になっていた大学のチームの、箱根駅伝での順位の話しであった…私が進学する前、父は箱根駅伝を観ていた訳でもなかったと思うが、駅伝に出ているチームとは関係なくとも、私が御厄介になっていた大学のチームに関して「身内のチーム」と親近感を持ったのであろう…その他に、「便りがないのは…」を地で行くように、然程頻繁に連絡もしていなかったので、連絡を寄越す口実にしていたのかもしれない…その父だが、私が大学を卒業してからも、箱根駅伝を結構愉しんでいる様子だ…正月に訪ねると「今年は遅れているぞ…来年は予選からか?」などと言いながらテレビで観ているので、私も一緒に観てしまうが…
本書のタイトルを見ると、「何か駅伝が好ましくない?」とも思えるのだが、必ずしも本書はそういう主旨でもないように思う。私と同世代の筆者だが、彼は基本的に箱根駅伝の“一寸熱心なファン”であることが伺える…“一寸”と表現したが、“かなり”としても嘘にはならないと思う。
本書で説かれるのは、駅伝がその“存在”を大きなものにして行ったプロセスと、近年になって目立っているチームのことや、伝統を誇るチームのことなどを色々と分析してみる、というような内容である。
「駅伝の魅力を掘り下げる」ような面が、寧ろ目立つような感じもする本書ではあるが、同時に「愛するが故…」と苦言を呈している面も併せ持っている…それが本書の題名の持つ意味合いだ…
駅伝は、陸上競技の競技力強化のためのロードワーク、或いは“手段”だった筈なのだが、全国テレビ中継などで“甲子園”化し、大学経営の宣伝媒体という性質も強くなり、“目的”になってしまったことで、「陸上競技が一寸弱くなっている?」という問題を筆者は指摘するのである…
忙しいと言えば忙しい年末かもしれないが、箱根駅伝を前に、一寸目を通してみるのも良いかもしれない一冊だ…
本書のタイトルを見ると、「何か駅伝が好ましくない?」とも思えるのだが、必ずしも本書はそういう主旨でもないように思う。私と同世代の筆者だが、彼は基本的に箱根駅伝の“一寸熱心なファン”であることが伺える…“一寸”と表現したが、“かなり”としても嘘にはならないと思う。
本書で説かれるのは、駅伝がその“存在”を大きなものにして行ったプロセスと、近年になって目立っているチームのことや、伝統を誇るチームのことなどを色々と分析してみる、というような内容である。
「駅伝の魅力を掘り下げる」ような面が、寧ろ目立つような感じもする本書ではあるが、同時に「愛するが故…」と苦言を呈している面も併せ持っている…それが本書の題名の持つ意味合いだ…
駅伝は、陸上競技の競技力強化のためのロードワーク、或いは“手段”だった筈なのだが、全国テレビ中継などで“甲子園”化し、大学経営の宣伝媒体という性質も強くなり、“目的”になってしまったことで、「陸上競技が一寸弱くなっている?」という問題を筆者は指摘するのである…
忙しいと言えば忙しい年末かもしれないが、箱根駅伝を前に、一寸目を通してみるのも良いかもしれない一冊だ…
2005年12月19日(月) at 21:22
『ダークエンジェル 戦闘前夜』 マックス・アラン・コリンズ (角川文庫) / HN TASHKENT
本 > 国外小説(翻訳)
何年か前に、「米国で人気のテレビシリーズ」として紹介された『ダークエンジェル』である…“2019年”という近未来が設定されたSFである…このシリーズがなかなか気に入っていた…まとまった話しとして完結した“第1シリーズ”は非常に面白く、全てレンタルして観た…“第2シリーズ”は個人的には「若干、期待に反したもの…」なので余り薦めないが…
書店で本書を見掛けた際、そのテレビシリーズを色々と思い出し、読んでみたくなって求めたが、非常に面白かった。
映画…テレビシリーズ…小説…各々、“表現出来る範囲”或いは“奥行き”というものが異なるのだと思う…映画やテレビシリーズとして出会った作品を小説で読むと、場合によっては、「映像作品が苦手かもしれない…」と見受けられる、“作中世界の奥行き”、“劇中人物達の心情や記憶の掘り下げ”というような作用で、「かなり入り込んで」愉しめる…本書はそういう類のものである…
テレビシリーズでは、「2009年の“電磁波テロ”で米国が荒廃してしまい、それから10年経った2019年のシアトル」が舞台になっており、そこで暮らす主人公が“最強の兵士”を生むべく秘密裏に進められた研究で誕生した、凄まじい能力を持つ女性となっている。本書でもそれは変わらない…この主人公の“マックス”が、テレビシリーズのように、シアトルでバイク便(自転車で宅配をするサービス)の店で働く傍ら、研究施設を脱出して以来の仲間を探すというようになるまでの、“前夜”の話しが綴られているのだ…
テレビシリーズのポスターやビデオのジャケットに、シアトルのスペースニードルの屋根に主演のジェシカ・アルパが佇んで、荒廃した街を見詰めるイメージが多用されていた…このイメージが出て来るまでに、本書は“道案内”してくれるのだ…
“アンチユートピア”とでも言うような近未来世界を作品世界として大胆に想定し、その中で凄まじい能力を持った…或いは負ってしまった主人公が、自らの意思で道を開いていくという物語である…これは良い!!
書店で本書を見掛けた際、そのテレビシリーズを色々と思い出し、読んでみたくなって求めたが、非常に面白かった。
映画…テレビシリーズ…小説…各々、“表現出来る範囲”或いは“奥行き”というものが異なるのだと思う…映画やテレビシリーズとして出会った作品を小説で読むと、場合によっては、「映像作品が苦手かもしれない…」と見受けられる、“作中世界の奥行き”、“劇中人物達の心情や記憶の掘り下げ”というような作用で、「かなり入り込んで」愉しめる…本書はそういう類のものである…
テレビシリーズでは、「2009年の“電磁波テロ”で米国が荒廃してしまい、それから10年経った2019年のシアトル」が舞台になっており、そこで暮らす主人公が“最強の兵士”を生むべく秘密裏に進められた研究で誕生した、凄まじい能力を持つ女性となっている。本書でもそれは変わらない…この主人公の“マックス”が、テレビシリーズのように、シアトルでバイク便(自転車で宅配をするサービス)の店で働く傍ら、研究施設を脱出して以来の仲間を探すというようになるまでの、“前夜”の話しが綴られているのだ…
テレビシリーズのポスターやビデオのジャケットに、シアトルのスペースニードルの屋根に主演のジェシカ・アルパが佇んで、荒廃した街を見詰めるイメージが多用されていた…このイメージが出て来るまでに、本書は“道案内”してくれるのだ…
“アンチユートピア”とでも言うような近未来世界を作品世界として大胆に想定し、その中で凄まじい能力を持った…或いは負ってしまった主人公が、自らの意思で道を開いていくという物語である…これは良い!!
2005年12月18日(日) at 12:20
『殺す警官』 サイモン・カーニック (新潮文庫) / HN TASHKENT
本 > 国外小説(翻訳)
この作品の後に同じ著者が発表したという作品『覗く銃口』を愉しく読み、「機会があれば…」と思っていた本作を手にした。期待どおり、或いはそれ以上に楽しめた…
主人公はロンドンの刑事だ。ある程度経験もある昔気質の刑事だが、捜査過程で押収した品物を流す程度の悪事をしている…そして麻薬のディーラーなど、悪漢の依頼で悪漢を密かに抹殺する“殺し屋”にまで手を染めている…
この主人公の身近で2つの殺人事件が発生する。3人の男が射殺された事件と、若い売春婦が斬殺された事件だ…前者で手を下したのは主人公自身だ…後者について、主人公は刑事として真面目に捜査を進める…“麻薬のディーラー”と聞かされていた3人の男はそういった者ではないことが判り、売春婦の件も色々なことが明らかになり、2つの事件は徐々に結びついていく…
展開が読み難い“謎解き”、主人公による一人称の語りを基調とした、殺伐としたようでいて猥雑な、タフガイを気取りながらもその限りでもなく、物悲しいユーモアも混ざる描写など、引き込まれてしまう…私個人としては、主人公の設定年齢と同じ年代なので、「こういう感じ…何か判る…」というものもあり、余計に惹かれる面もあった…
文庫本に収められた訳者による後書によれば、作者は英国では最も注目されている若い書き手の一人だということである…サイモン・カーニック…覚えておくべきだ!!
主人公はロンドンの刑事だ。ある程度経験もある昔気質の刑事だが、捜査過程で押収した品物を流す程度の悪事をしている…そして麻薬のディーラーなど、悪漢の依頼で悪漢を密かに抹殺する“殺し屋”にまで手を染めている…
この主人公の身近で2つの殺人事件が発生する。3人の男が射殺された事件と、若い売春婦が斬殺された事件だ…前者で手を下したのは主人公自身だ…後者について、主人公は刑事として真面目に捜査を進める…“麻薬のディーラー”と聞かされていた3人の男はそういった者ではないことが判り、売春婦の件も色々なことが明らかになり、2つの事件は徐々に結びついていく…
展開が読み難い“謎解き”、主人公による一人称の語りを基調とした、殺伐としたようでいて猥雑な、タフガイを気取りながらもその限りでもなく、物悲しいユーモアも混ざる描写など、引き込まれてしまう…私個人としては、主人公の設定年齢と同じ年代なので、「こういう感じ…何か判る…」というものもあり、余計に惹かれる面もあった…
文庫本に収められた訳者による後書によれば、作者は英国では最も注目されている若い書き手の一人だということである…サイモン・カーニック…覚えておくべきだ!!
2005年12月17日(土) at 10:09
『物語 ウクライナの歴史―ヨーロッパ最後の大国』 黒川祐次 (中公新書) / HN TASHKENT
本 > 歴史・ノンフィクション
例えば「ありがとう」はロシア語で「スパシーバ」なのに対し、ウクライナ語では「デャークユ」だというように、“ウクライナ語”というものがあることを知った時、ウクライナの歴史に興味を覚えた。そして出会った本書だが、一気に読了してしまった…
「物語 ○○の歴史」シリーズは、各々に工夫して世界の諸地域の歴史へ読者を導いてくれる好著が多いが、これも例に漏れない!!
神話や伝説の昔から、年代記が綴られている中世、近世、近現代、そしてウクライナが独立国になった最近に至るまでが通史的に語られている。“国”を有しなかった時期が長いだけに語り難いかもしれないウクライナの歴史だが、非常に概観が掴み易いまとめ方である。
これは歴史学者による著作ではなく、外交官による「ウクライナを日本にご紹介」という著作であることも手伝い、非常に読み易い。交流が始まって、歴史も浅いウクライナだが、何かで「ウクライナ」と聞いて興味を覚えた方には大いに勧めたい!!
「物語 ○○の歴史」シリーズは、各々に工夫して世界の諸地域の歴史へ読者を導いてくれる好著が多いが、これも例に漏れない!!
神話や伝説の昔から、年代記が綴られている中世、近世、近現代、そしてウクライナが独立国になった最近に至るまでが通史的に語られている。“国”を有しなかった時期が長いだけに語り難いかもしれないウクライナの歴史だが、非常に概観が掴み易いまとめ方である。
これは歴史学者による著作ではなく、外交官による「ウクライナを日本にご紹介」という著作であることも手伝い、非常に読み易い。交流が始まって、歴史も浅いウクライナだが、何かで「ウクライナ」と聞いて興味を覚えた方には大いに勧めたい!!
2005年12月16日(金) at 07:06
『戦国15大合戦の真相―武将たちはどう戦ったか』 鈴木眞哉 (平凡社新書) / HN TASHKENT
本 > 歴史・ノンフィクション
戦国時代から江戸時代にかけての、よく知られている合戦のお話しを取り上げているが、散々世に問われているものとは一線を画している。必ずしもロマンチックなものではない、“時代なりのリアリズム(常識)”を掘り下げてみようというような内容である。
通説について「一寸待ってくれ…本当にそうだろうか?」と問い掛けている。何処となく、SFやアニメや特撮の物語の設定を科学知識で突っ込むような類の話しに通じるかもしれない…
非常に痛快で、一気に読んだ一冊であった…
通説について「一寸待ってくれ…本当にそうだろうか?」と問い掛けている。何処となく、SFやアニメや特撮の物語の設定を科学知識で突っ込むような類の話しに通じるかもしれない…
非常に痛快で、一気に読んだ一冊であった…
2005年12月15日(木) at 07:03
『日産自動車の失敗と再生 日本人ではなぜ再建できなかったのか』 上杉治郎 (ベスト新書) / HN TASHKENT
本 > 歴史・ノンフィクション
1990年代に入って“バブル崩壊”というようなことを言われて以降、“失われた10年”などと言われ、一部には“失われた15年”とも言われる…何か「大きく社会や経済の様態が変わる期間」であったということだ…
本書は2001年に上梓されたものであるが、その「大きく社会や経済の様態が変わる期間」に大きな“揺れ動き”を経験した日産自動車の歩みを綴ったものである。
日本の自動車業界は、一時随分と成長していた訳だが、何かそれらが“頭打ち”的になった1990年代以降、「非常に巧くいっている!!」会社と「一寸困っている…」会社とに分かれた感があった…日産は後者に属していた…そして日産は、外資を受け入れ、経営者を外国から呼び、その指導下で“V字回復”と評される動きで注目された。
所謂“V字回復”に関しては、何か「数字の魔術」に類する要素も全くないとは言い難い面もあるようだが、それはそれとして「業績不振の閉塞感が打ち砕かれ、注目されるようになった」というのは間違いない…
私自身、自動車業界の人間ではないし、何らかの利害がある訳ではない…この記事の読者諸賢の多くもそうであろうと思う…が、これは「一業界のお話し」というのではなく、“経済活動”(ある会社の仕事)という切り口での、過去何十年かを対象とする“日本社会史”という趣に仕上がっており、なかなか示唆に富むものがあると思った…
“失われた10年”が何時の間にやら“15年”になっている閉塞感の中、「“コミットメント”(約束した目標への到達)を信条に、“当たり前”を一つずつ見直す」ということをした日産自動車の経験は尊いような気がする…
本書は2001年に上梓されたものであるが、その「大きく社会や経済の様態が変わる期間」に大きな“揺れ動き”を経験した日産自動車の歩みを綴ったものである。
日本の自動車業界は、一時随分と成長していた訳だが、何かそれらが“頭打ち”的になった1990年代以降、「非常に巧くいっている!!」会社と「一寸困っている…」会社とに分かれた感があった…日産は後者に属していた…そして日産は、外資を受け入れ、経営者を外国から呼び、その指導下で“V字回復”と評される動きで注目された。
所謂“V字回復”に関しては、何か「数字の魔術」に類する要素も全くないとは言い難い面もあるようだが、それはそれとして「業績不振の閉塞感が打ち砕かれ、注目されるようになった」というのは間違いない…
私自身、自動車業界の人間ではないし、何らかの利害がある訳ではない…この記事の読者諸賢の多くもそうであろうと思う…が、これは「一業界のお話し」というのではなく、“経済活動”(ある会社の仕事)という切り口での、過去何十年かを対象とする“日本社会史”という趣に仕上がっており、なかなか示唆に富むものがあると思った…
“失われた10年”が何時の間にやら“15年”になっている閉塞感の中、「“コミットメント”(約束した目標への到達)を信条に、“当たり前”を一つずつ見直す」ということをした日産自動車の経験は尊いような気がする…
2005年12月14日(水) at 18:55
『黒衣の下の欲望』 マルト・ブロー (河出書房新社) / HN TASHKENT
本 > 国外小説(翻訳)
女性が黒い布の目隠しをしている写真が表紙にある。何か危ない感じもしてしまう一冊だが…
これはフランスの小説で、フィクションともノンフィクションともつかない綴り方がなされている…
主人公は弁護士で、夫と子どもが居る…が、ある男と出会い、その男の愛を得ようとしてしまっている…
「赤裸々な性生活」などと帯にはあるのだが、何か大袈裟に過ぎるような感もする…性行為そのものが描かれている訳ではない…
客観的には非常に恵まれた境遇にある女性が、“欲望”に抗うことが出来ずに居るという“告白”の体裁となっている。彼女が「愛を得よう」としている男とは、「“支配”と“被支配”」というような嗜好を有しているらしく、“被支配”を望む彼女をいろいろと弄ぶかのような振る舞いに及ぶ…
「愛を得よう」とする主人公の“欲望”、或いは“願望”が綴られるという意味で「心の奥の性生活」というようなことは言っても構わないと思うのだが、「赤裸々な性生活」などとは言い難い…という意味で、なかなか洗練されているようにも思える…
時にはこういうのも悪くはない…
これはフランスの小説で、フィクションともノンフィクションともつかない綴り方がなされている…
主人公は弁護士で、夫と子どもが居る…が、ある男と出会い、その男の愛を得ようとしてしまっている…
「赤裸々な性生活」などと帯にはあるのだが、何か大袈裟に過ぎるような感もする…性行為そのものが描かれている訳ではない…
客観的には非常に恵まれた境遇にある女性が、“欲望”に抗うことが出来ずに居るという“告白”の体裁となっている。彼女が「愛を得よう」としている男とは、「“支配”と“被支配”」というような嗜好を有しているらしく、“被支配”を望む彼女をいろいろと弄ぶかのような振る舞いに及ぶ…
「愛を得よう」とする主人公の“欲望”、或いは“願望”が綴られるという意味で「心の奥の性生活」というようなことは言っても構わないと思うのだが、「赤裸々な性生活」などとは言い難い…という意味で、なかなか洗練されているようにも思える…
時にはこういうのも悪くはない…
2005年12月13日(火) at 22:56
『スコットランド 歴史を歩く』 高橋哲雄 (岩波新書) / HN TASHKENT
本 > 歴史・ノンフィクション
この新書の“帯”にも本文で引かれている言が刷り込まれている…「イングランドでは名馬が育ち、スコットランドでは人材が育った」という言だ…スコットランドに特有な“矜持”のようなものが滲む…
本書は、スコットランドの通史というよりも、様々な史上の人物の業績や文化にスポットを当てた、「横顔で見るスコットランドの歴史」という体裁である…
「スコットランドでは人材が育った」というが“英国史”という観点で、一寸名前の知られた人達の多くがスコットランドで育まれていたということを知り、新鮮な驚きがあった!!
スコットランド…なかなか魅力的な訪問先であると思うが、本書のような角度で学んでみると、益々興味が沸く!!
本書は、スコットランドの通史というよりも、様々な史上の人物の業績や文化にスポットを当てた、「横顔で見るスコットランドの歴史」という体裁である…
「スコットランドでは人材が育った」というが“英国史”という観点で、一寸名前の知られた人達の多くがスコットランドで育まれていたということを知り、新鮮な驚きがあった!!
スコットランド…なかなか魅力的な訪問先であると思うが、本書のような角度で学んでみると、益々興味が沸く!!
2005年12月12日(月) at 21:32
『アメリカ病』 矢部武 (新潮新書) / HN TASHKENT
本 > 歴史・ノンフィクション
「社会が何かしら“病んで”いないか?」という問題意識を持ってしまうことというのが時々ある…
本書はアメリカを題材に「社会が何かしら“病んで”いないか?」という問題意識で、色々なことを説いている…
“ポジティヴ・シンキング”、“健康”、“美容”、“公正さ”、“銃”、“平等”…本書では、これらのキーワードを様々な角度で斬っている…
実はこれが、米国内でもこの著者のような問題意識を持って論じている人もあるようだ…「だから!!」と米国を嫌いになろうというのではない…銃のような話しは、ピンと来ないが、多くが「この国の近未来?」というような気がしてしまう内容だ…
なかなか興味深い…
本書はアメリカを題材に「社会が何かしら“病んで”いないか?」という問題意識で、色々なことを説いている…
“ポジティヴ・シンキング”、“健康”、“美容”、“公正さ”、“銃”、“平等”…本書では、これらのキーワードを様々な角度で斬っている…
実はこれが、米国内でもこの著者のような問題意識を持って論じている人もあるようだ…「だから!!」と米国を嫌いになろうというのではない…銃のような話しは、ピンと来ないが、多くが「この国の近未来?」というような気がしてしまう内容だ…
なかなか興味深い…


