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氷のダム決壊へ。 南極ウィルキンス棚氷、温暖化で大規模崩壊が進む / よねやま

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海面上昇は、もともとの海水の熱膨張の影響によるものと、陸地の氷や水が海に流れ込む影響によるものとに大別される。海水の熱膨張は数十cm程度の海面上昇にしかもたらすことはない。しかし、詳細な研究調査が未解明なため、主に極地方のグリーンランドや南極の陸地の上の氷塊や氷河の融解や、海面上への移動効果は、最新のIPCCの報告書でも議論のあるところであり、海面上昇値予想にきちんと反映されていないはずだ。たしか、未解明な地域の温暖化による挙動の寄与による海面上昇は考慮していないということわりがきがあった。

最新のIPCC議長による口頭の警告は「数メートル」の上昇である。日本の沿岸地域の最近の公共の建築物は、昭和36年の第二室戸台風などの高潮被害の潮位を基準に設計されている「はず」である。大阪で2.6メートル、兵庫で1.9メートルの潮位の偏差だった。

今後は、温暖化による海面上昇が、平常時にも、高潮被害にも、そして津波にも影響するだろう。「数メートル」のげたがさらに履かされるわけである。

今度の現象は、単に、部分的に、南極の氷が溶け出していくということではない。氷棚を支える堤防がなくなることなのである。ちょうど、水をためたダムのコンクリートの堤防が壊れる直前ということである。

堤防の役割をしている氷は、横からの氷棚の圧力、下の海水温度の寄与により、脆弱となり崩壊することで、それが歯止めとなって溜め込んだ氷棚の海洋への移動や融解が加速される。今は、小康状態だが予断は許さない。

ゆるやかな単純比例で温暖化がすすまず、氷から水という相転移を伴いながら、壊れるときには「すみやか」に壊れるはずである。このような温暖化現象の進行スピードと科学的な調査研究のスピードとの不幸なミスマッチが起こっている。

人でたとえれば、精密検査に時間がかかり過ぎて手遅れになるというケースだ。生命を助けるという調査のミッションはこれでは達成されない。

これを地球温暖化というグローバルな症状に当て嵌めると、疑わしきは、とりあえず行動するという新たな予防意識である。かぎを二重にかけるのといっしょであり、万一の安全余裕をさらに強化して制度設計をし、行動に移るという、予防コストを意識せざるを得ない。

予防意識による行動がたとえ実らなくても、社会的なコストとして評価されなくてはならない。


2008年3月29日(土) at 10:27